[成果情報名]

ヤマトトウキの調製過程における生理活性と品質の変化

[要約] ヤマトトウキ根部は、はざ掛け後に糖含量が増加し、風乾後からACE阻害活性が高まり、熟成後に ピラジン類が増加する。伝統的なヤマトトウキ調製過程は生理活性や品質を高めるために重要である。
[キーワード] ヤマトトウキ、ACE阻害活性、糖含量、ピラジン
[担当] 奈良農総セ・資源開発チーム、奈良県中小企業支援センター
[連絡先] 電話0744-22-6201
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 婦人病や虚弱体質の改善の治療に用いられている生薬原料のヤマトトウキは、調製過程で 生理活性や品質が変化すると言われているが、その詳細については知見が少ない。そこで、 根部調製過程において、血圧降下作用機序の一つとされているアンジオテンシンI変換酵素(ACE) 阻害活性と、品質にかかわると考えられる糖含量およびピラジン類を測定し、どの調製過程が内容成分の 変化に影響を及ぼすのかを明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 乾物率は収穫後からはざ掛け後と、湯揉み後から風乾後にかけて有意に増大する(表1)。
  2. ACE kit-WST(同仁化学研究所)を用いて算出したACE活性を50%阻害するために必要な試料濃度 (IC50)は、湯揉み後から風乾後と、風乾後から熟成後にかけて有意に低下して、この時期に ACE阻害活性が高まる(表1)。
  3. F-キット(J.K.インターナショナル社)を用いて測定したショ糖、ブトウ糖および果糖の合計量は、 収穫後からはざ掛け後に急激に増大してその後は変化はない。ヤマトトウキ根部に含まれる 糖の大部分はショ糖で、ブドウ糖と果糖は調製過程が進むにつれて高まる傾向にあり、特に、 果糖は風乾後から熟成後にかけて有意に増加する(表1)。
  4. MonoTrap(ジーエルサイエンス社)法により測定したピラジン類2-エチル-5-メチルピラジン、 (2,3,5-トリメチルピラジン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン)の割合は収穫後から 風乾後までわずかに増加するだけだが、熟成後において有意に増加する(表1)。 熟成後において、品質が低く安価で取引きされている50g以下の軽い個体でピラジン類の 割合は少ない(図1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 生理活性・品質に着目すると、伝統的に行われているヤマトトウキの調製過程は重要である。
  2. ヤマトトウキの品質の指標となるピラジン類割合は、MonoTrap法を用いることによって、 従来の減圧水蒸気蒸留法よりも簡便かつ迅速に測定できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 優良大和生薬の鑑定技術及び増殖技術の開発
予算区分 地域結集型共同研究事業
研究期間 2005~2009年度
研究担当者 浅尾浩史、野本享資(奈良県中小企業支援センター)

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