[成果情報名]

水稲鉄コーティング直播栽培の水管理法に適した除草法

[要約] 水稲鉄コーティング直播栽培には、播種前土壌処理剤とイネ1葉期土壌処理剤を用いる体系処理が 適している。落水不良環境においては、播種前土壌処理剤のピラゾキシフェン・ベンゾビシクロンフロアブル を用いれば水稲の苗立ちへの影響は小さい。
[キーワード] 水稲、直播、鉄コーティング、発芽、出芽、苗立ち、水管理、除草、薬害
[担当] 広島総技研・農技セ・栽培技術研究部
[連絡先] 電話082-429-3066
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 水稲鉄コーティング直播栽培において、湛水播種後、発芽始期までに落水状態とすることで 苗立率が70%以上に向上する。そこで、この水管理法に適合し、除草効果が高く水稲の生育に 影響を及ぼさない除草法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. ピラゾレート粒剤を播種後施用して7日間湛水した場合(表1)、除草効果は高く薬害は 発生しないが、湛水に起因した苗立ち不良が発生し、収量が低下する(表2)。
  2. 播種当日落水後、播種後5日に再入水してイマゾスルフロン・エトベンザニド・ダイムロン 粒剤を施用した場合(表1)、コナギを中心とした残草によって収量が低下する(表2)。
  3. 鉄コーティング直播において最も高い苗立率が得られる発芽始期落水処理には、播種前土壌処理剤と イネ1葉期土壌処理剤を用いた体系処理(表1)が適合する。除草効果が高く、薬害も軽微である。 水稲の苗立率は70%以上となり、収量は480~532kg/10aとなる(表2)。
  4. 圃場の落水不良部分を想定して、常時湛水とした条件では、苗立率はブタクロール・ペントキサゾン 乳剤もしくはダイムロン・ペントキサゾンフロアブルを播種前土壌処理剤として 用いた場合に低下する。ピラゾキシフェン・ベンゾビシクロンフロアブルを用いた場合は 苗立率への影響は小さい(図1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ピラゾキシフェン・ベンゾビシクロンフロアブルは、直播水稲用土壌処理剤としての農薬登録に 向けて現在試験中のため、現時点で生産現場での使用はできない。したがって、本成果は 研究機関向けの情報として用いる。生産現場に対しては、当面は代替薬剤として ダイムロン・ペントキサゾンフロアブルを推奨する。
  2. 圃場の落水不良部分では、種子近傍の還元や水生生物害による苗立ち不良が発生しやすいため、 排水対策(圃場の均平化、播種後の溝切りなど)を行う。
  3. 落水期間中に極端な晴天が続く場合は、乾燥によって鞘葉の伸長が停滞し、その間に雑草の 葉齢が進んでイネ1葉期土壌処理剤の散布適期を逸する恐れがある。したがって、鞘葉期に 伸長停滞が見られる場合は1日程度追加湛水する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 鉄コーティング種子を核とする環境調和型水稲直播技術の確立
予算区分 実用技術
研究期間 2007~2009年度
研究担当者 山本真之、貝淵由紀子

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