[成果情報名]

山口県における水稲「きぬむすめ」の奨励品種採用

[要約] 「きぬむすめ」は収量性が「日本晴」と同程度で、外観品質の優れた良食味品種である。熟期が「日本晴」とほぼ同じで作期分散に 適することから、山口県における平坦~中間部向けの早生品種として奨励品種に採用する。
[キーワード] イネ、奨励品種、きぬむすめ、外観品質、良食味、早生品種、作期分散
[担当] 山口農総セ・土地利用作物研究室・作物育種グループ
[連絡先] 電話083-927-0211
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 山口県では、良食味品種の作付けが8割を越えているが、現行の奨励品種に熟期が「日本晴」と同時期となる早生の良食味品種がないことから、 品種構成が極早生熟期と中生熟期に二極分化している。このため、担い手の労力集中や乾燥調製施設の非効率な利用等が問題となっている。 また、平坦部での「コシヒカリ」や中間部の「ヒノヒカリ」等、良食味品種の不適地栽培が増加しており、県産米の上位等級比率を低下させる一因と なっている。そこで、作期分散に活用できる良質・良食味の早生品種を選定・導入する。
[成果の内容・特徴]
「きぬむすめ」は、「日本晴」と比較して次のような特性を持つ。
  1. 出穂期は1~2日、成熟期は1~4日遅い早生品種である(表1)。
  2. 稈長は同程度である。穂長は2cm 程度短いが、粒着は密で一穂籾数はやや多い。穂数はやや少なく、草型は中間型である(表1)。
  3. 耐倒伏性は同等である(表1)。
  4. 葉いもち及び穂いもちほ場抵抗性はともに“中”で同程度である(表2)。
  5. 穂発芽性は“中”で、やや穂発芽しやすい(表2)。
  6. 玄米収量は同程度である。玄米千粒重は1g程度軽い(表1)。
  7. 玄米の外観品質は「日本晴」と同程度に優れる(表1)。
  8. 玄米中のタンパク質含量はやや低い(表1)。
  9. 炊飯米は外観が優れ、食味は概ね良好で、「日本晴」より明らかに優れ、「ヒノヒカリ」と同程度である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 県内平坦部の「コシヒカリ」や中間部の「ヒノヒカリ」を「きぬむすめ」に替えることで、県産米の品質向上が図られるとともに、 作期分散による担い手の作業効率が向上できる。
  2. いもち病に対する抵抗性が十分ではないので、適切な防除に努める。
  3. 倒伏や籾数過多による品質低下を避けるため、極端な多肥栽培はしない。
  4. 穂発芽性が「日本晴」より劣るため、刈り遅れに注意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 水稲奨励品種決定調査
予算区分 県単
研究期間 1997~2009年度
研究担当者 渡辺大輔、羽嶋正恭

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