[成果情報名]

奈良県内のダリアに発生した‘葉腐れ症状’の病原菌の同定と有効薬剤の検索

[要約] 近年、県内のダリア産地で問題となっている‘葉腐れ症状’の病原菌はRhizoctonia solani Kuhn AG-1IBであり、病名は葉腐病である。また、本病の防除にはベノミル剤、メプロニル剤、 アゾキシストロビン剤、クレソキシムメチル剤等が有効である。
[キーワード] ダリア、葉腐病、Rhizoctonia solani、AG-1IB
[担当] 奈良農総セ・研究開発部・環境安全担当・病害防除チーム
[連絡先] 電話0744-22-6201
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 近年、奈良県内のダリア産地で発生し問題となっている‘葉腐れ症状’の病原菌の同定を行い、 さらに、有効薬剤の検索を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. 発病葉から高率に分離される糸状菌を単菌糸分離し、培養後に健全なダリアに接種すると、 ‘葉腐れ症状’(図1)が再現され、同一の性状を示す糸状菌が再分離される。
  2. 分離菌株の菌糸をギムザ染色して光学顕微鏡で観察すると、菌糸細胞は多核であり、分枝点で ややくびれ、分枝点の近傍に細胞隔壁が観察される。
  3. 分離菌株をPDA培地上で25℃、20日間培養すると、菌糸の色は淡褐色で、菌核を形成し、その表面は 毛羽立った褐色の類球形であり、亜群IBの特徴を示す(図2)。
  4. 分離2菌株を菌糸融合群AG-1及びAG-2の標準菌株と対峙培養すると、AG-1の5標準菌株と 菌糸融合し、特にAG-1IBと高率に菌糸融合する(図3)。 また、国永によるPCR法により遺伝子診断を行うと、分離菌の菌糸融合群はAG-1、亜群はIBと 判定される(データ省略)。
  5. 以上から、本病は既報のダリア葉腐病であり、病原菌はRhizoctonia solani Kuhn AG-1IBである。
  6. ダリアポット苗を用いて本菌の接種前に薬剤散布すると、ベノミル水和剤、メプロニル水和剤、 アゾキシストロビン20フロアブル剤、クレソキシムメチルフロアブル剤、トルクロホスメチル水和剤、 ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤で高い防除効果が認められる(図4)。
  7. 薬剤による防除効果は、接種後(感染後)の処理では効果が劣る(データ省略)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ダリア葉腐病の病原菌として既に報告されているR.solaniは分離記録のみで、接種試験は 実施されておらず、菌糸融合群及び亜群については不明である。
  2. 本菌の完全世代については未確認である。
  3. 現地における本病害の発生は、葉腐れ症状の発生後、茎を初め白色で後に褐色の菌糸が取り巻き、 その後様々な形態の菌核を形成する。また、日当たりのよい圃場での発生は少なく、山際の日当たりの 悪い圃場で発生が多い傾向が認められる。
  4. 平成21年12月現在、ダリア葉腐病に対して登録のある薬剤はない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 病害虫診断技術調査事業
予算区分 国庫(食の安全・安心確保交付金)
研究期間 2007~2008年度
研究担当者 西崎仁博、川上恵理(近畿大学農学部)、百町満朗(岐阜大学応用生物科学部)、平山喜彦、角川由加

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