[成果情報名]

ホウレンソウケナガコナダニ成虫に対する有効薬剤は限られる

[要約] ホウレンソウケナガコナダニの成虫に殺ダニ活性を示す市販農薬は非常に少ない。活性の認められる 薬剤でも、個体群間で補正死亡率に大きな差がある場合がある。
[キーワード] ホウレンソウ、ホウレンソウケナガコナダニ、薬剤、殺ダニ活性、管理
[担当] 奈良農総セ・環境・安全担当・虫害防除チーム、普及技術課・高原野菜指導係
[連絡先] 電話0744-22-6201
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 施設栽培ホウレンソウで問題となっているホウレンソウケナガコナダニ(以下コナダニと略す)に 適用のある登録薬剤は、2009年12月現在、DDVP乳剤、フルフェノクスロン乳剤及びDCIP粒剤の3剤と 少ない。また、圃場における防除効果は不安定である。そのため、栽培現場では効果の高い新規薬剤に 対する要望が強い。そこで、複数個体群を対象とした室内試験により有効薬剤を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. コナダニへの殺ダニ活性が期待された市販農薬50剤(常用濃度)の中では、成虫に対する 殺ダニ活性の高い薬剤は非常に少ない(表1)。殺ダニ活性の認められた薬剤でも、 複数の個体群に対して、DDVP乳剤、ダイアジノン・DDVP乳剤(2008年12月に失効)と 同程度の安定した高い効果のある薬剤は認められない(表1)。
  2. エマメクチン安息香酸塩乳剤及びクロルフェナピル水和剤は、DDVP含有製剤ほど補正死亡率は 高くないものの、供試したいずれの個体群に対しても比較的効果が安定している (表1)。
  3. DDVP含有製剤、エマメクチン安息香酸塩乳剤、クロルフェナピル水和剤以外の薬剤では、 補正死亡率が低いか、個体群間で補正死亡率に大きな差が認められる。特に、ピリミホスメチル乳剤、 カルボスルファンマイクロカプセル剤、トルフェンピラド乳剤及びBPPS乳剤では、個体群間で 補正死亡率に50%以上の差がある(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 2009年現在、エマメクチン安息香酸塩乳剤(ホウレンソウに他害虫を対象として適用あり) 及びクロルフェナピル水和剤(ホウレンソウに適用なし)について、コナダニを対象に 適用拡大のための試験を実施中である。
  2. 有効薬剤がほとんどない上に、現在の主要薬剤であるDDVP乳剤は2008年9月に製造が中止され、 近い将来使用できなくなる。このため、薬剤だけに頼らない総合的なコナダニ防除対策を 推進する必要がある。
  3. ホウレンソウで過去に使用されていない薬剤でも、殺ダニ活性の個体群間差が認められている。 今後の有効薬剤の探索には複数の個体群を供試することが重要である。
  4. 適用薬剤のフルフェノクスロン乳剤はIGR剤で殺成虫効果がないことが分かっている。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ホウレンソウケナガコナダニの発生生態の解明と防除対策
予算区分 県単
研究期間 2007~2008年度
研究担当者 松村美小夜、神川 諭
発表論文等 松村、神川(2009)関西病虫研報、51:89-91

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