[成果情報名]

水稲鉄コーティング直播でのモノアラガイ類による苗立ち不良の発生

[要約] 水稲鉄コーティング種子の湛水直播栽培における苗立ち不良の一因は、発芽直後の芽に対する モノアラガイ類の食害によるものである。短期間の加害でも草丈の伸長や葉齢の進展が遅れる。
[キーワード] 水稲、鉄コーティング、湛水直播、苗立ち、モノアラガイ類
[担当] 広島総技研・農技セ・生産環境研究部
[連絡先] 電話082-429-2590
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 水稲鉄コーティング直播栽培技術の普及を進める中で、一部圃場における苗立ち不良が問題と なっている。これまでの現地の実態調査によりイネミズゾウムシの被害を明らかにしたが、 イネミズゾウムシ少発生条件下でも苗立ち不良の発生がみられる。現地圃場ではモノアラガイ類や ユスリカ類等多くの水生生物が観察されている。なかでもモノアラガイ類は水草や藻類等を餌とする 植食性の巻貝で、鉄コーティング種子の芽を摂食している可能性が考えられる。
 そこで、モノアラガイ類が、鉄コーティング直播における苗立ち不良に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 室内飼育においてモノアラガイ類は発芽直後の鞘葉を摂食し、被害部位は主に発芽直後の 生長点と鞘葉である(図1図2)。
  2. 水稲鉄コーティング種子を湛水条件下で土壌表面に播種後にモノアラガイ類を放飼した 室内試験では、発芽率に差はみられないが、苗立率は無放飼区62%に対して5頭放飼区36%、 30頭放飼区12%と著しく低くなる。また、無放飼区に比べ放飼区では草丈の伸長や葉齢の 進展が遅れる(表1)。
  3. 被害苗率は5頭放飼区で28%、30頭放飼区では58%と高くなる(図1)。
  4. モノアラガイ類に水稲鉄コーティング種子の発芽直後の芽を24時間摂食させると発芽10日後の 第1葉の葉長が短くなる。また、48時間摂食させると発芽10日後の不完全葉および第1葉の葉長は 短くなり、葉齢の進展も遅れる(表2)。
  5. モノアラガイ類は水稲鉄コーティング種子の生育に影響を与えており、短期間の加害でも 生育遅延を引き起こし、苗立ち不良の原因となっている。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は湛水条件下で土壌表面播種する直播栽培に共通するものである。土中播種する直播栽培に 比べ、芽の基部が土壌表面上にあるため生長点がモノアラガイ類の被害を受けやすいと考えられる。
  2. 水稲鉄コーティング直播での苗立ち不良には、モノアラガイ類やこれまで明らかとなっている イネミズゾウムシ以外の水生生物やその他の要因(土壌環境、病害等)もあると考えられる。
  3. 供試した巻貝はヒメモノアラガイと思われる(未同定)が、他の巻貝(サカマキガイ等)でも苗を 食害する可能性が高い。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 鉄コーティングを核とする環境調和型水稲直播技術の確立
予算区分 実用技術
研究期間 2009年度
研究担当者 瀧村勇二、星野 滋

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