[成果情報名]

山口県内の市場で発生するスイカ「果実腐敗症」の原因解明と防除対策

[要約] 山口県内の市場で多発したスイカの果実腐敗は、原因として3種類の細菌が関与する障害である。 これら細菌は、収穫から出荷時にかけて生じる果実の傷から感染し、急激に腐敗を引きおこす。 防除対策としての傷防止と銅剤の散布が有効である。
[キーワード] スイカ、市場、果実腐敗、細菌、防除
[担当] 山口農総セ
[連絡先] 電話083-927-0211
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 県内から出荷したスイカが市場において腐敗し返品される事態に対応するため、スイカ果実腐敗症 (以下本症)に関与する病原菌の種類および感染時期等の発生要因を解明し防除対策技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 被害スイカ果実から常法により分離を行ったところ、症状別に3種の細菌が分離される。 分離される各細菌を健全なスイカ果実へ注射接種すると、果実に原病徴が再現される。 表現型および16S rDNA分子系統の検査を行ったところ、原因菌は症状ごとに異なり軟化症状では Pectobacterium carotovorum(軟腐病菌)、発泡症状では Enterobacter cloacae、水浸状症状ではLeuconostoc mesenteroides が関与する(図1)。
    2007~2009年の発生割合はP.carotovorumが46%、E.cloacaeが 46%、L. mesenteroidesが4%である(表1)。 市場での腐敗は収穫約2日後から発生する。
  2. P.carotovorumを、ツルや葉に接種した場合、接種部のみ腐敗し、腐敗の範囲は 局在的である。果実肥大期の果実に接種した場合、収穫前に果実の腐敗が起こる。一方、 収穫期の果実の外皮に川砂等で付傷すると、市場で発生する腐敗と同様な症状を高率に起こす (表2)。
  3. E.cloacaeおよびL.mesenteroidesにより腐敗が生じた果実には、果実の 花落部や外皮に傷が確認されることから、収穫前後の果実の傷が本症の発生原因であると 示唆される。これらの菌は、ツル、葉、果実肥大期の接種では果実腐敗を起こさない(表2)。
  4. 防除薬剤として銅剤が有効であり、散布時期は果実表面が汚染している場合、付傷前が適している (図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本症の予防には収穫から選果時にかけての衛生管理と収穫物のていねいな扱いが必須である。
  2. 銅剤として塩基性塩化銅を使用した。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 スイカ果実腐敗症の原因解明と防除対策の確立
予算区分 県単
研究期間 2007~2009年度
研究担当者 井上興、村本和之、岡田知子

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