[成果情報名]

判別分析を用いた牛ふん・豚ふんたい肥の窒素肥効タイプの推定

[要約] 反応速度論的解析によって分類される牛ふん・豚ふんたい肥の窒素肥効タイプは、CN比と全窒素量に 占める塩酸抽出無機態窒素量の比率を変数とする正準判別関数を用いれば、簡易に推定できる。
[キーワード] 牛ふんたい肥、豚ふんたい肥、窒素肥効、判別分析、反応速度論的解析
[担当] 岡山農総セ・農試・化学研究室
[連絡先] 電話086-955-0532
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(土壌)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 たい肥窒素肥効評価のひとつである反応速度論的手法は、精度が高い反面、分析に多くの時間と労力を 要する。そこで、すでに反応速度論的手法によって明らかとなっている牛ふんたい肥および豚ふんたい肥の 窒素無機化特性をタイプ分けし、窒素肥効タイプを迅速・簡易に推定する手法を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 反応速度論的解析にもとづく窒素無機化特性は、以下の3タイプとする。
    (1)遅効型:施用当年は、ほとんど窒素肥効を示さないたい肥
       (1t/10a施用した際の水稲作付け期間の窒素無機化量が1kg未満)
    (2)緩効型:施用当年から窒素肥効を徐々に示すたい肥
       (1t/10a施用した際の水稲作付け期間の窒素無機化量が1kg以上)
    (3)速効型:施用当年に窒素肥効を示すが、施用当初に窒素肥効を示した後は、ほとんど肥効を示さないたい肥
       (1t/10a施用した際の水稲作付け期間中の窒素無機化量が1kg以上で、施用時と作付け終了後の 窒素無機化量の差が1kg未満)
  2. 窒素肥効に関連する9つの変数の、窒素肥効タイプごとの平均値は、CN比を除いたすべての変数で緩効型が 遅効型より高い値を示す(表1)。
  3. ステップワイズ変数選択法によって選択された、窒素肥効グループを判定するための変数は、CN比と 全窒素量に占める塩酸抽出無機態窒素量の比率である(表2)。
  4. CN比と全窒素量に占める塩酸抽出無機態窒素量の比率を用いた正準判別関数による分類結果は、遅効型の サンプルで1つ、緩効型のサンプルで2つ誤判別があったが、全体として正答率88.5%と 高い値を示す(表3)。

  5. 以上の結果より、CN比、全窒素量および塩酸抽出無機態窒素量を測定し、それらの値を正準判別関数に あてはめた算出値を用いることで、窒素肥効タイプを簡易・迅速に推定できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果の基礎データとなる窒素無機化特性は湛水条件のものである。
  2. 遅効型と判定されたたい肥は、土づくりを目的として用い、速効型および緩効型と判定されたたい肥は、 窒素成分を考慮した施肥設計を行う。
  3. CN比および全窒素量は、近赤外分光光度計を用いることで迅速に推定できる。
  4. 塩酸抽出無機態窒素量は、RQフレックスを用いることで迅速に測定できる。
  5. 判別分析結果と作物の窒素吸収量との関連性については今後の検討が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 飼料イネ安定多収栽培のための堆肥成分の簡易評価手法の開発と施用指標の作成
予算区分 交付金プロ(次世代耕畜連携)
研究期間 2009年度
研究担当者 鷲尾建紀、高津あさ美、高野和夫、森次真一、大家理哉、永井知佳子、石橋英二

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