[成果情報名]

玄米中カドミウム濃度の熱希硝酸抽出による簡易スクリーニング法

[要約] 玄米中カドミウム濃度が基準値を超える可能性を迅速に判定する方法として、全粒玄米の熱希硝酸抽出液を 直接原子吸光法で測定すれば、1日以内で迅速、安全、安価に結果が得られ、公定分析の必要性を スクリーニングする技術として活用できる。
[キーワード] カドミウム、全粒玄米、熱希硝酸、原子吸光法、簡易スクリーニング
[担当] 兵庫農総セ・農技セ・環境・病害虫部
[連絡先] 電話0790-47-2420
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(土壌)
[分類] 技術及び行政・参考

[背景・ねらい]
 現在、農産物のカドミウム基準値の見直しが進められており、今後、農産物中カドミウム濃度を迅速に 測定し、安全な農産物をチェックできる体制の整備が望まれている。現在の公定法では、玄米試料を粉砕した後、 ドラフト施設を必要とする強酸による湿式分解、有機溶媒のメチルイソブチルケトンによる抽出操作が 必要であり、測定に約3日を要し、作業能率が低い。また、分析者の有害物被曝や廃液処理も問題となる。 そこで、玄米を粉砕せずに熱希酸で抽出ろ過して、そのまま原子吸光法で測定することにより、1日以内で 迅速、安全、安価に結果が得られるスクリーニング法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 簡易スクリーニング法では、100ml広口ポリ容器に非粉砕玄米粒試料2gと1mol L-1硝酸 40mlを加え、蓋を閉めて80℃の湯浴で2時間静置した後、ろ過して原子吸光法(228.8nm)または ICP-AES法で測定する(図1)。
  2. 抽出液として硝酸、塩酸、酢酸の1mol L-1溶液を比較すると、硝酸の抽出率が最も高く、 玄米中カドミウムがほぼ全量抽出される(図2)。
  3. 抽出時間は、2時間で十分である。抽出倍率は、試料2gに1mol L-1硝酸40mlを加える20倍が 良く、10倍に高めると、共存物質が多く抽出されるため感度が低下する。また、2時間静置で十分な 抽出率が得られるため、振とう処理は不要と考えられる(表1)。
  4. 1mol L-1硝酸抽出液のカドミウム濃度は、ICP-AES法でも測定できるが、測定値は原子吸光法 よりも低めになる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 正式には公定分析法によらねばならないが、基準値を超える可能性を迅速に判定できることから、 公定分析法に先立つスクリーニング技術として活用できる。
  2. 機器測定に当たり、直接法のため抽出液中の共存物質の影響を受けやすいので、検量液を試料液測定の 途中で適宜測定して、感度変化をみる必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 玄米中カドミウムの簡易分析法の開発と評価
予算区分 農業公害対策試験(県単)
研究期間 1997~1998年度
研究担当者 松山稔、桑名健夫

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