[成果情報名]

サトイモ一工程収穫機

[要約] イモ株の掘り上げから親イモと子・孫イモの分離、土の分別、コンテナへの収納まで連続して行う 一工程収穫機であり、分離は搬送中にハの字配置したクローラで行い、イモの損傷割合も低い。作業能率は 2名の人力組作業と比較して約3倍の10a/1日である。
[キーワード] サトイモ、機械化、収穫作業、一工程、収穫機
[担当] 愛媛農水研・栽培開発室
[連絡先] 電話089-993-2020
[区分] 近畿中国四国農業・農業環境工学
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 サトイモの収穫作業には多くの労力を要している。特に、親イモから子・孫イモを分離する作業は、 簡単な器具の利用は見られるものの手作業で重労働である。そこで、収穫作業の軽減・効率化を図るため、 イモ株の掘取り、親イモと子・孫イモの分離、イモと土の分別、コンテナへの収納が一工程で行える収穫機を 開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 開発した一工程収穫機(以下、「本機」という)は、全長3,490mm、質量985kg、掘取り幅650mmで、 移動用と作業用にそれぞれガソリンエンジンを搭載している。収穫作業は、機械の操作及び 分離補助作業を行う操作者1名と後方で分離したイモをコンテナへ収容する補助者1名の 計2名で行う(表1)。作業能率は、2名の人力組作業で3a/日程度であるが、 本機では10a/日程度である。
  2. 本機は、鋤と搬送コンベアによってイモ株下の約7cmの土とともに掘り上げ、分離部のハの字状に 配置したクローラで横方向から圧力を加え、イモ株を分離する。なお、分離部の圧力調整はイモ株の 大きさに合わせ、クローラ間隔を調整した後、スプリング機構により行う。イモの分離後、振動式の 搬送コンベアで、イモと土を分別し、その後方の揺動選別部で、さらにイモと土を分別する。 また、揺動選別部の後方には収容用のコンテナを搭載できる(図1)。
  3. 分離部で親イモから分離されない子・孫イモの割合は、現地試験で38.9~73.7%である(表2)。 しかし、掘り上げたイモ株が数個の塊に分かれると後の分離は手作業で容易に行えることや、 株が抱え込んでいる土とイモとを分別しやすくなることから連続して処理できる方式として有効である。
  4. 分離部の左右クローラの速度を変えると、子・孫イモがつながった3連結、4連結以上で有意な差が みられるものの、未分離となるイモの割合は変わらない(表2)。
  5. 現地試験において本機で収穫したイモは、販売可能と判断される「傷なし」「肌ズレ」を合わせると 89.7~99.0%となり、損傷割合は低い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 土といっしょに掘り上げるためイモ株中心に力が効果的に作用して分離性能が向上し、また土が 緩衝となり孫イモの損傷が軽減される。ただし、掘取り深さが深すぎると分離部に過大な負荷が かかることがあるため、掘り取り深さの調整は注意する必要がある。
  2. 土壌水分が高い場合や畝全面を雑草が覆っている状態では、大量の土や雑草が揺動選別部まで 送り込まれ、イモと土の分別が悪くなる。
  3. 収穫時期が早いイモは柔らかく表面に傷がつきやすいため収穫に当たっては分離部の調整に注意する 必要がある。
  4. 分離精度および損傷程度については、水田土壌(中粗粒灰色低地土)で“愛媛農試V2号”を用い、 現地慣行の栽培方法で栽培したサトイモでの値である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 サトイモ一工程収穫機の開発
予算区分 国補(農業経営強化対策事業)
研究期間 2007~2008年度
研究担当者 河野靖、岩部孝章(井関農機)、山本英男(文明農機)
発表論文等 河野靖他(2009)農業機械学会関西支部報第105号:6-9
河野靖他(2009)近中四農業研究15:9-12

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