[成果情報名]

育苗時の冷却高濃度培養液と細霧冷房によるトマト抑制栽培の増収技術

[要約] トマトの盛夏期の育苗において、冷却高濃度培養液(EC 9.6dS/m)の給液と細霧冷房処理を組み合わせると、 収穫開始が早まり、上果収量、総収量が増加する。
[キーワード] 施設トマト、抑制栽培、育苗、養液栽培、冷却高濃度培養液、細霧冷房
[担当] 京都農技セ・園芸部
[連絡先] 電話0771-22-6492
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 京都府内のトマト抑制栽培では、8月下旬の定植が一般的であったが、市況の影響により8月中旬までの 定植が増加している。そのため、育苗期の高温により苗が徒長するなど生産が不安定な状況にある。
 これまで当センターでは4cm角の小型ロックウールブロック(以下、小型RWブロックとする。)を用いた 省スペース育苗(300~400本/㎡の育苗が可能)において、高濃度培養液(園試処方でEC9.6dS/mに調製)を 給液することで高温期の苗の徒長が抑えられることを確認した(平成18年度研究成果情報)。しかし、 高濃度培養液で育苗すると定植後の収穫開始期が遅れる傾向にある。そこで、小型RWブロックを用い、 20℃程度に冷却した高濃度培養液(以下、冷却高濃度培養液とする)を給液し、環境改善のための 細霧冷房処理を併せることで苗質を充実させ収穫開始期の前進と増収を図る。
[成果の内容・特徴]
  1. 育苗ベッド付近の最高気温は、細霧冷房処理により細霧冷房処理無しに比べて5℃程度低くなる (図1)。小型RWブロックの昇温抑制には、冷却高濃度培養液と 細霧冷房処理を組み合わせると効果が高く、処理無しに比べ最高温度が 7℃程度低くなる(図2)。
  2. 冷却高濃度培養液と細霧冷房処理を組み合わせた小型RWブロック育苗では、慣行育苗(7.5cm角 RWブロック、EC1.2dS/m)と比べると、定植時の苗の草丈は同程度で、葉数は少なく、定植後13日目の 草丈は低く、葉数は同程度である(表1)。
  3. 収穫開始時期は、冷却高濃度培養液と細霧冷房処理を組み合わせた小型RWブロック育苗により、慣行育苗に 比べて8日程度早まる(表2)。
  4. 初期収量(2段目までの上果収量)、作期を通した上果収量、総収量は、冷却高濃度培養液と細霧冷房処理を 組み合わせた小型RWブロック育苗により慣行育苗に比べて10%程度多くなる(表2)。
  5. 冷却高濃度培養液は子葉展開時から定植前まで、小型RWブロックの底面に掛け流し給液する。給液回数は 1日当たり17回、給液時間は1回当たり5分間とし、給液量は1株1回当たり250ml程度とする。また、 冷却高濃度培養液の温度は、冷水製造器で作成した冷却水を培養液タンク内に沈めたホースに流し、 培養液が常に20℃程度となるように温度センサーで制御する。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験は、定植後ガラスハウス内で培養液循環式のロックウール栽培で行った。
  2. 細霧冷房処理は、子葉展開後に市販の細霧冷房ユニット(噴霧圧力2MPa)で8:00~18:30の間、室温 30℃以上の高温時に2分噴霧-2分休止のサイクルで稼働させて行う。苗に水滴が付着しないように、 噴霧口と苗は2m以上離す。
  3. 冷却高濃度培養液と細霧冷房処理を組み合わせた処理により、研究期間を通じて安定して高収量が 得られた。なお、細霧冷房の単用処理は、気象の年次差の影響等により、効果が不安定である。
  4. 培養液の冷却には冷水製造器(消費電力425-500w、水槽容積200?)を用いた。本器一台で10a分の育苗が 可能である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 施設トマトの高温期の生産環境改善による収量・品質の向上
予算区分 府単
研究期間 2007~2008年度
研究担当者 城田浩治、礒野浩太(2007~2009)

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