[成果情報名]

セラミックス吸収材を利用した二酸化炭素吸収・放出装置によるバラの生産性向上

[要約] 灯油燃焼式加温機の排気ガスに由来する二酸化炭素をいったん吸収し、バラが光合成で利用できる時間帯に 毎日繰り返して放出できる装置によってバラの栽培施設内へ二酸化炭素施与を行なうと、切り花本数が増加 するとともに切り花長と切り花重が大きくなる。
[キーワード] 加温、二酸化炭素施与、施設栽培、リチウムシリケート
[担当] 広島総技研・農技セ・栽培技術研究部
[連絡先] 電話082-429-3066
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 園芸作物の生産性向上のために、冬期には二酸化炭素施与が行なわれることがある。一方で地球温暖化 防止の観点から、冬期の加温施設栽培における加温機の排気ガスに起因する二酸化炭素の排出削減技術の開発が 望まれている。加温機の排気ガスに由来する二酸化炭素をいったん吸収し、バラが光合成で必要とするときに 放出できる装置を試作した。
 そこで、試作機を用いて二酸化炭素の排出を削減するとともに、バラの生産性向上について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 二酸化炭素吸収・放出装置の試作機は、リチウムシリケート(Li4SiO4)を主成分と するセラミックス吸収材を24L(12kg)内蔵する。リチウムシリケートは次の化学式(A)に示すように、 温度によって二酸化炭素と可逆的に反応する。
    (A)Li4SiO4+CO2(発熱反応)Li2SiO3+Li2CO3(吸熱反応)
    試作機は、最大で1日に829gの二酸化炭素を吸収・放出することができ、実験を行なった161m3の 施設であれば二酸化炭素濃度を約3000ppmまで上昇させる能力がある。
  2. 排気ガス中の二酸化炭素吸収は電熱ヒータでセラミックス吸収材を500~550oCに、吸収した二酸化炭素の 放出は600~700℃に加熱することで行なう。二酸化炭素放出時は、制御弁1、2および5を開き、 3および4を閉じる(図1)。一方、二酸化炭素吸収時は制御弁1、2および5を閉じ、 3および4を開く。また、二酸化炭素の吸収・放出時はブロワを稼動する。
  3. 広島県内のバラ生産者の慣行に従って、7:30~9:00にのみ二酸化炭素を施与する設定で試作機を稼動 させると、ガラス温室内の二酸化炭素濃度の推移は、施与開始時刻の午前7時30分になると急速に上昇し始め、 9時前には設定した1200ppm程度になる(図2)。施与終了時刻の9時を過ぎると、 二酸化炭素濃度は低下し始め11時頃には対照区と同程度になる。
  4. 「ローテローゼ」の収穫開始までの日数に有意な差はない(表1)。二酸化炭素施与期間中(10~5月)の 1株当たりの総切り花本数は、施与区が30.4本であり、無施与区と比較して20%大きい。切り花長、 切り花重および総切り花重は二酸化炭素施与により有意に大きくなるが、節数および切り花重/切り花長比に 差はない。
[成果の活用面・留意点]
  1. セラミックス吸収材の加熱に要する電力に起因する二酸化炭素の発生量が吸収量と比較して27倍大きい ことから、装置の改良が必要である。
  2. 栽培期間中は、セラミックス吸収材を交換しなかったが、少なくとも7か月は交換なしで使用できる。
  3. セラミックス吸収材は強アルカリ性のため、取り扱いには留意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 セラミックス吸収材利用の施設栽培用二酸化炭素供給装置の開発
予算区分 高度化事業
研究期間 2005~2007年度
研究担当者 梶原真二、島地英夫(花き研)、加藤雅礼(㈱東芝)、加藤康博(㈱東芝)、佐野誠一郎(㈱東芝)、 前澤幸繁(㈱東芝)、今田敏弘(㈱東芝)
発表論文等 梶原ら、近畿中国四国農業研究(2010)、16: 37-41

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