[成果情報名]

催芽開始時のグロリオサ塊茎の芽への切り込みによる簡易な塊茎増殖技術

[要約] 催芽開始時の塊茎の芽に2~4mmの切り込みを入れて、30℃で30日間催芽した後に定植し、定植後は 花序を切り捨て約30日間長く養成することで、慣行の切り花栽培より多くの新塊茎を得ることができ、 10か月~2年短い期間で1,000倍に増殖できる。
[キーワード] グロリオサ、催芽、塊茎、増殖、切り込み
[担当] 高知農技セ・作物園芸課・花き担当
[連絡先] 電話088-863-4918
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 グロリオサ塊茎は1作当たり約2倍の増殖率のため、年2作しても約4倍にしかならず、新品種の 普及や新産地の早期形成において増殖率の向上が大きな課題となっている。一方、組織培養による増殖技術も 開発されてはいるものの、特別な設備や技術を要することや、培養後切り花生産に適する重さになるまでに 2~3年が必要であること等から実用化していない。
 そこで、切り花生産者が特別な装備を要することなく増殖効率を上げることのできる簡易な塊茎増殖方法を 明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 棒状の塊茎を使用し、催芽開始時に切り込んだ後に30℃で30日間催芽する(表1)。
  2. 切り込みは、鞘葉を1枚取り除いた後、芽に2~4mmの深さに塊茎の長方向と平行に1回いれる (表2写真1)。
  3. 新塊茎の養成は、慣行切り花栽培より約30日長く行う(データ省略)。
  4. 切り込み処理によって得られる新塊茎の増殖率は、系統によって異なる(表3)。
  5. 棒状以外の形状の新塊茎は、一旦、慣行と同様に養成した後に本手法によって増殖を繰り返し、かつ、 最終の作付けで切り込み処理せずに養成した場合、1,000倍増殖に要する期間は、慣行手法より10か月 ~2年短縮できる(表3)。
  6. 切り込みは、2.5倍程度の拡大鏡を用いてカミソリで行うと100塊茎を約34分で処理できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 増殖用の母塊茎にはウイルス汚染のないものを用いる。
  2. 複数回の切り込みや横方向の切り込みでは塊茎が枯死する恐れが高いため避ける。
  3. 分岐したもの等の、棒状以外の形状の塊茎には本手法を適用しない。
  4. 約10%の株では芽が枯死して新塊茎を形成しない場合があるため、保有塊茎が少ない場合は本手法の 適用は避ける。
  5. 本法による増殖期間中は花序を切り捨て、採花は行わない。
  6. いずれの塊茎も、掘り上げた後に10℃で2か月間冷蔵して休眠打破する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 グロリオサの新品種育成と高品質安定生産技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2006~2008年度
研究担当者 二宮千登志
発表論文等 二宮千登志(2010) 高知農技セ特別研究報告10:40-45

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