[成果情報名]

バラの折り曲げ枝は着生位置によりソース機能を分担する

[要約] バラのハイラック仕立て法において、株元の折り曲げ枝に由来する光合成産物の分配率は根で高いが、 採花母枝上部の折り曲げ枝に由来するそれは採花母枝と花茎で高いことから、着生位置の異なる折り曲げ枝は 光合成産物のソースとしての機能を分担している。
[キーワード] バラ、同位体二酸化炭素、光合成産物、仕立て法、転流
[担当] 広島総技研・農技セ・栽培技術研究部
[連絡先] 電話082-429-3066
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 バラの養液栽培では、光合成産物のソース器官と考えられる折り曲げ枝を持つアーチングやハイラック 仕立て法が広く普及しているが、切り花の生産性はハイラック仕立て法がアーチング仕立て法と比較して高い ことが知られている。
 そこで、これらの仕立て法において、同位体二酸化炭素(13CO2)を用い、折り曲げ枝に 由来する光合成産物の転流と分配を調査し、生産性への寄与について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. アーチング仕立て法およびハイラック仕立て法ともに、折り曲げ枝の着生位置に関わらず、折り曲げ枝に 由来する光合成産物は50~70%が他部位へ転流する(表1)。
  2. アーチング仕立て法では、折り曲げ枝に由来する光合成産物の部位別分配率は、根で最も高く、次いで クラウンである(図1A)。また、2本ある花茎への分配率はいずれも同程度である。
  3. ハイラック仕立て法における株元の折り曲げ枝に由来する光合成産物の部位別分配率は、アーチング仕立て 法と同様に根で最も高く、次いでクラウンである(図1B)。 しかし、ハイラック仕立て法でも、採花母枝上部の折り曲げ枝に由来する光合成産物は、その折り曲げ 枝が接する採花母枝および花茎で根と同程度に高いが、もう1本の採花母枝および花茎では 低い(図1C)。
  4. アーチング仕立て法では、折り曲げ枝に由来する光合成産物の13C濃度を示す13C atom ‰ excessは、根およびクラウンで高い(図2A)。
  5. ハイラック仕立て法の株元の折り曲げ枝に由来する光合成産物の13C atom ‰ excessは根で 最も高く、次いでクラウンである(図2B)。しかし、ハイラック仕立て法でも、 採花母枝上部の折り曲げ枝に由来する光合成産物の13C atom ‰ excessは、その折り曲げ枝が 接する採花母枝で最も高く、次いで根であり、もう1本の採花母枝および花茎では低い(図2C)。
  6. 以上のことから、株元の折り曲げ枝に由来する光合成産物は根へ多く転流し地下部の成長に寄与しているが、 採花母枝上部の折り曲げ枝に由来する光合成産物は花茎および採花母枝への転流が多かったことから、 直接的に花茎の成長に寄与するとともに、次に発生する花茎の成長にも寄与しており、このことが ハイラック仕立て法の切り花生産性に影響していることが示唆される。
[成果の活用面・留意点]
  1. 開花期の花茎を2本つけたバラ「ローテローゼ」を用いて、99 atom %の13CO2 を含む空気バランスのガスを施与し、72時間後に採取し分析した結果である。
  2. 生育ステージの異なる花茎を持つ株については、生育ステージごとのシンクとソースの関係に関する検討が 必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 セラミックス吸収材利用の施設栽培用二酸化炭素供給装置の開発
予算区分 高度化事業
研究期間 2005~2007年度
研究担当者 梶原真二、島地英夫(花き研)
発表論文等 Kajihara S. et al. (2009) Scientia Hortic. 121:485-489

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