[成果情報名]

ハウス栽培と貯蔵を組み合わせた中晩柑「南津海」の端境期出荷体系

[要約] 「南津海」のハウス栽培では、連年結実には最終葉果比40とし、退色や浮皮の少ない葉裏の果実を利用する。 収穫時期は、3月中旬から4月上旬とし、貯蔵は常温では1か月程度であるが、8℃程度、湿度90%で 低温貯蔵すれば7月までの長期出荷が可能となる。
[キーワード] 中晩柑、「南津海」、摘果、貯蔵
[担当] 山口農総技セ柑きつセ
[連絡先] 電話0820-77-1019
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 「カラ」の珠心胚実生品種である「南津海(なつみ)」のハウス栽培は、露地栽培に比べて、す上がり などの寒害や雹害を受けず、さらに退色も少ないため良好な外観の果実を出荷できる。また、「南津海」は 無加温、または少加温で対応できることから、多くの化石燃料を必要とするハウスミカンに比べて、省エネ、 低コスト品種として活用が期待されている。
 そのため、「南津海」におけるハウス栽培技術と国産カンキツ端境期間である7月までの出荷を可能とする 貯蔵方法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 摘果は、大果となる果実の判断が可能となる8月中~下旬に粗摘果を行い、9月中~下旬に仕上げ 摘果を行う。最終葉果比40に摘果すると、翌年も十分な着花が得られる(表1)。 浮皮や退色しやすい外成および樹冠上部の果実(表2)で、含核数の多い大果(図1)を 中心に摘果して、葉裏の果実を残す。
  2. ハウス栽培の収穫時期は、クエン酸が1.3%以下となり、浮皮が多くなる前の3月中旬から4月上旬とする。 分割採収では、まず、退色及び浮皮の発生しやすい樹冠上部や外成果から行い、次に葉裏や内成果を 収穫する(表2)。
  3. 強度の予措は果皮の萎凋やへた枯れを助長するため、予措は2~3%と軽めに行う。貯蔵期間は、 常温では1か月程度であるが、温度8℃程度の低温貯蔵では7月下旬まで可能である(表3)。 なお、果実品質保持のため、貯蔵庫の湿度を90%と高湿にすると、湿度75%と比較して障害果の発生は少ない。
[成果の活用面・留意点]
  1. ハウス栽培は、無加温もしくは低温期のみの少加温とし、ビニール被覆は11月から開花期までとする。 収穫前にハウス内の気温が25℃以上になると浮皮が発生するため、換気を行う必要がある。なお、 ビニールの部分開放して換気を行う場合には、防鳥ネットで鳥害対策を取らなければならない。
  2. 水田転換園などウンシュウミカンの糖度の上がりにくい園地でも、「南津海」は高い品質を保つことが できる。一方、過乾燥条件ではウンシュウミカンと比べて落葉しやすいことから、乾燥地では ウンシュウミカンよりも頻繁に潅水を必要とする。
  3. 摘果する3L以上の大果は、8月20日時点の横径で5cm以上、9月5日時点では6cm以上を目安とする。
  4. 貯蔵中の乾燥は果皮の萎凋やへた枯れを助長するために、乾燥防止のため、不織布シートでコンテナを 覆い、湿度を保つ。
  5. 「南津海」はかいよう病に弱いため、強風の当たる園地への栽植は避け、ボルドー剤などによる防除を 徹底する。また、ミカンハモグリガの食害はかいよう病を助長するためにネオニコチノイド剤などで 防除を行う。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ポスト伊予柑新品種の特性解明と栽培、品質保持技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2002~2006年度
研究担当者 岡崎芳夫、池田行謙

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