[成果情報名]

マンガンの土壌施用とpH調整によるカキ「西条」の樹上軟化防止対策

[要約] カキ「西条」において、イオウ華施用により土壌pHを4.5~5.0に矯正し、さらにマンガン資材を連年施用 することにより、成熟期の果肉中マンガン含量を100ppm以上に高めると、樹上軟化を抑制効果が期待できる。
[キーワード] カキ「西条」、樹上軟化、マンガン、イオウ華、土壌pH
[担当] 島根農技セ・栽培研究部・果樹グループ
[連絡先] 電話0853-22-6981
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 島根県で栽培の多いカキ「西条」早生系統は、年により8月下旬から収穫期にかけて樹上で果実が軟熟し 落果する樹上軟化症状が多発し、生産量減少の大きな原因となっている。この樹上軟化多発樹の果実や葉中の マンガン含量は、少発樹と比較し少なく、マンガン含量とエチレン生成との関連が示唆されている。果実への マンガンの吸収は土壌pHに大きく左右され、6以上になると可吸態マンガン量が減少することから、 土壌pH 4.5~5.0を目標とした土壌へのイオウ華の施用とマンガン肥料(菱マンガン)の併用による 樹上軟化防止効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 試験開始後の土壌pHは、マンガンおよびイオウ華少施用区(以下少施用区)が処理2年目 (イオウ華施用初年度)の1999年に4.7まで低下し、その後4.6~5.0で推移する。マンガンおよびイオウ 華多施用区(以下多施用区)は、処理4年目(イオウ華初施用後3年目)の2001年まで徐々に低下し、 その後3.9~4.3と低く推移する(表1図1)。
  2. 果肉中マンガン含量は、処理2年目の1999年に少施用区が31ppmで無処理区と差がないのに対し、 多施用区は76ppmと有意に高い。その後、両処理区とも2002年まで継続して増加後、少施用区は100ppm程度で、 多施用区は150ppm以上で推移する(図2)。
  3. 樹上軟化発生率は、1999~2000年には処理間差がみられないものの、2001~2003年はイオウ華および マンガン施用による抑制効果が認められ、特に多施用区で顕著に抑制でき、樹上軟化の有効な対策と いえる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. イオウ華を施用する際は、土壌pHを確認してから施用量を加減する。また、土壌の種類や腐植の多寡に より肥効の現れ方に差異が生じるものと考えられ、予備試験を行って施用量を加減する。成木に施用する 場合、樹冠下の表面土壌に散布し、土壌中で分解されやすいように土壌と良く混和する。施用は、 元肥として休眠期に行う。
  2. マンガンは師管内での移行性が比較的少ないため、葉面散布では効果がみられない。土壌施用による マンガン含量増加効果は、処理2年目以降期待できることから、連年施用する必要がある。
  3. 「西条」ではマンガン過剰施用による障害はみられなかったものの、「松本早生富有」ではマンガン 過剰症(緑斑症)のおそれがあるため、隣接園で施用する場合は注意が必要である。また、本試験では 低pH処理による影響はみられなかったものの、より長期間の検証が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 カキ「西条」の樹上軟化防止対策試験
予算区分 県単
研究期間 1998~2003年度
研究担当者 持田圭介、栂野康行、倉橋孝夫
発表論文等 持田圭介ら.(2008)園芸学研究7(1):33-38

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