[成果情報名]

放牧牛の採食回数から推定する乾物充足率と転牧時期

[要約] 放牧牛のバイトカウンターによる摂取乾物1kg当たりの採食回数は、採食可能草量の低下につれて増加し、 乾物充足率が低下することから、転牧時期を推定できる。
[キーワード] 肉用牛、放牧、バイトカウンター、採食回数、乾物充足率、転牧時期
[担当] 広島総技研・畜技セ・飼養技術研究部
[連絡先] 電話0824-74-0331
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 放牧地の主な野草の可消化養分総量(TDN)は乾物中50~60%であるため、採食可能草量が十分あれば、 草のみで黒毛和種繁殖雌牛の要求量を満たした放牧が維持できる。
 一方、採食可能草量が不足してくると、要求量を下回り、脱柵の危険性が高くなる。また、採食可能草量は 草の踏み倒しや不食過繁地があるため見かけの草量とは一致しない。
 そこで、排せつ糞量から採食量を推定する手法を用い、採食量と首式バイトカウンターによる採食回数から 転牧時期を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 採食回数の把握は、首式バイトカウンター(農研機構北海道農業研究センター所有)を用い、放牧地内に 排せつされた糞の量を毎日測定し、消化試験の消化率から乾物摂取量を推定する。
  2. 放牧試験で用いた黒毛和種繁殖雌牛と放牧地の草を用いて消化試験を行い、乾物消化率を測定したところ 64.0±0.5%である。
  3. 乾物充足率と黒毛和種繁殖雌牛の採食回数の関係は次のとおりである(英字は具体的データ中の英字に一致)。
    (1)放牧で必要量が満たされる時期(A): 乾物充足率120%以上
    ・採食可能な草が充分量あり、摂取乾物1kg当たりの採食回数は約2,000~3,000回となる(図1)。
    (2)放牧を維持できる時期(B): 乾物充足率100%前後
    ・1口当たりの採食量が減少し、必要量を確保するため1日当たり採食回数が20%増加する(図2)。
    ・摂取乾物1kg当たりの採食回数は、4,000回前後になる(図1)。
    (3)転牧を考慮する時期(C): 乾物充足率80%前後
    ・摂取乾物1kg当たりの採食回数は、6,000回前後に増加する(図1)。
    (4)脱柵の危険性が増加する時期(D): 乾物充足率50%前後
    ・採食可能な草を探す行動に終始し、1日当たり採食回数は減少する(図2)。
    ・摂取乾物1kg当たりの採食回数は、約8,000~10,000回に増加する(図1)。
  4. 採食可能草量が減少すると、一旦、摂取量維持のため1日当たり採食回数が増加し、その後低下する行動が 観察される。これらが転牧のサインである。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験地の主な植生はシバ・ナガハグサ・シロクローバであり、さらに異なる植生の放牧地における データ集積の必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 環境に配慮した小規模移動放牧における繁殖和牛の飼養管理技術
予算区分 実用技術
研究期間 2006~2009年度
研究担当者 沖山恒明、新出昭吾

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