[成果情報名]

肉用繁殖牛の放牧による皆伐後の竹林の再竹林化の防止

[要約] 皆伐後の竹林を含む里地里山エリアにおける春から晩秋までの肉用繁殖雌牛の放牧は、牛が期間中に 発生するタケノコをよく採食するので、竹林化を防止できる。
[キーワード] 肉用牛、放牧、タケノコ、竹林
[担当] 京都農技セ・畜産セ・碇高原牧場
[連絡先] 電話0772-76-1121
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 行政・普及

[背景・ねらい]
 放置された農地や里山では繁殖力旺盛なモウソウチク林の拡大が、荒廃を一層深刻化させている。そこで、 皆伐した竹林を放牧地とした場合のタケノコの採食行動および竹の再生状況について調査し、林業と畜産が 連携した山・里緩衝地放牧の有効性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 植林地を侵食した竹林21a(2006年1月下旬~3月上旬に約1,100本を皆伐)と耕作放棄地103aを含む 約3haの里地里山において、肉用繁殖牛2頭を1日1頭あたり米ヌカ1kg程度の補助飼料で4月中旬~1 1月中旬までの約7か月間放牧できる(表1)。
  2. 皆伐竹林内に発生するタケノコは、通常よりやや小型の直立型と人差指ほどの太さの倒伏型の2タイプが ある。直立型は頭頂部を採食されると腐敗するが、倒伏型は頭頂部を採食されても 節から脇芽を出して生長する。
  3. 直立型は4月上旬から5月下旬頃に発生し、発筍本数も激減する(図1)。
    倒伏型は5月から12月頃まで発生し続け、発筍本数は1年目、2年目で多いが、3年目以降に 激減する(図1)。
    なお、発生最盛期は直立型が5月上旬、倒伏型が6月中旬から5月上中旬へと早まる。最終発生時期も 早まり4年目には、直立型、倒伏型とも6月頃にほとんどでなくなる(図1)。
  4. 放牧牛のタケノコの採食行動は4月~11月までの全期間にわたって認められ、4年間におけるモウソウチク の再竹林化防止効果は顕著である。採食率(採食本数÷(発筍本数-折損本数)×100)は、4年間の 加重平均で90%を越え(図1)、約35°以上の急峻地を除くほとんどのタケノコを採食する。
  5. タケノコの1日当たりの推定採食量は、5月前半が最も多く、 1年目は7.7kg(DM 0.88kg)/頭に達したが、 3年目は1.2kg(DM 0.14kg)/頭まで減少する(図2)。
  6. 竹の現存量は皆伐前を100%として、毎年放牧終了後に調査し、放牧区、毎年伐採区(無放牧で調査時に 伐採)で比較したところ、放牧区では3%以下の低水準で推移し竹林化は認められないが、毎年伐採区 では直立型も残存し毎年10%程度で推移する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. タケノコの嗜好性は良好であるが、タケノコの発生量が季節によって異なるので、荒廃農地などを含めて 採食量を確保する必要がある。なお、竹林の牧養力は、放牧密度や皆伐前の竹林の叢生密度、皆伐後の 経過年数、タケの種類等により変化する。
  2. 放牧牛は事前にタケノコによる馴致飼育が必要である。
  3. タケノコ(モウソウチク)の栄養成分は直立型、倒伏型のタイプや生育程度(桿長)により多少異なるが、 水分は86~91%、乾物中のCP 含量は14~20%、NDF は61~69%、ADFは24~34% である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 緩衝地帯内の竹林における肉用牛放牧技術の確立
予算区分 府単
研究期間 2006~2009年度
研究担当者 太田典宏、吉岡正行
発表論文等 1)太田ら 京都畜技セ試研成績4:24~29
2)太田ら 京都畜技セ試研成績5:39~47

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