[成果情報名]

受精卵クローン牛のミトコンドリアDNAタイプが子牛の生産性に及ぼす影響

[要約] 核移植をする際、ドナー細胞とレシピエント卵子を同一品種にすると、高い核移植胚の発生率を維持し、 過大子及び過大子に起因する事故を防ぐ可能性がある。
[キーワード] ウシ、受精卵クローン、ミトコンドリアDNA
[担当] 広島総技研・畜技セ・育種繁殖研究部
[連絡先] 電話0824-74-0331
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 行政・参考

[背景・ねらい]
 2分割した片方の胚を用いて受精卵クローン牛を3頭以上生産し、これを検定用の肥育牛に供する 「受精卵クローン技術を活用した種雄牛造成」が可能である。
 しかし、受精卵クローン技術には流死産の多発や過大子の発生といった課題がある。
 通常、核移植では、核DNAは同一でも細胞質は別の牛由来である受精卵核移植産子が作出されるため、 核移植産子を検定に用いた時の、検定精度に及ぼす影響を明らかにする必要がある。
 そこで、細胞質をミトコンドリアDNA(以下mtDNA)タイプにより分類し、核移植に用いるレシピエント卵子の 選択による過大子の防止法の検討及び個体の発育や産肉性に及ぼす影響を調査する。
[成果の内容・特徴]
 黒毛和種由来の雄の桑実期胚をドナー細胞とし、レシピエント卵子として、mtDNAタイプがドナー細胞と 同一(同一区)、あるいは異なるmtDNAタイプの黒毛和種(他異区)及びホルスタイン種(ホル区)由来の 卵子を用いて核移植胚を作出する。
 移植用の受胚牛は、当センター飼養のホルスタイン種未経産牛を供した。
 核移植産子の飼養管理は、当センターの定法により哺育育成後、同一の農家で同一の管理下で肥育した。
  1. ドナー核とレシピエント卵子の品種を揃えることで、核移植胚の発生率を高く維持できる(表1)。
  2. 黒毛和種では、ドナー細胞とレシピエント卵子が同じmtDNAタイプであれば、核移植産子の生時体重は 割球分離胚由来産子と類似する(表2)。
    また、mtDNAタイプが異なっても、同品種のレシピエント卵子であれば、過大子の発生を予防できる可能性がある。
  3. 黒毛和種のドナー細胞の場合、核移植産子の一日増体量の平均値は、黒毛和種のレシピエント卵子から生産 した産子より、ホルスタイン種由来のレシピエント卵子から生産した産子が大きくなる傾向がある。
    脂肪交雑には影響は認めない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. クローン検定の精度を維持するために、ドナー細胞とレシピエント卵子の由来品種を揃えることが 望ましい。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 受精卵クローン牛の細胞質が子牛生産と経済形質に及ぼす影響
予算区分 単県
研究期間 2004~2008年度
研究担当者 日高健雅、谷本陽子(広島総技研)、福馬敬紘(広島総技研 食技セ)、井原紗弥香(広島総技研)、 今井佳積、尾形康弘、松重忠美
発表論文等 1)日高ら(2007)広島県獣学誌22:20-23
2)日高ら(2008)広島県獣学誌23:33-36

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