[成果情報名]

中山間地の傾斜地茶園に対応した乗用型送風式農薬散布機

[要約] 本散布機は、傾斜地対応の送風式農薬散布ユニットを装着した農薬散布機で、重心を低く設計し、 傾斜15°までの等高線うねの傾斜地茶園で使用できる。散布量を慣行散布量の5/8 に減量しても、慣行並の 薬剤付着面積率が得られる。
[キーワード] 中山間地、傾斜地茶園、乗用型送風式農薬散布機、減量散布
[担当] 滋賀農技セ・茶業指導所
[連絡先] 電話0748-62-0276
[区分] 近畿中国四国農業・茶業
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 近年の食に対する安全安心指向の高まりから、傾斜地茶園が多い中山間地においても、 減農薬防除技術が求められている。市販されている送風式農薬散布機は、平坦地を対象とした乗用型 摘採機をベースに開発されたため重心が高く、傾斜地茶園での利用には対応していない。そこで、 等高線うねの傾斜地茶園でも安全に作業できる乗用型送風式農薬散布機(以下「開発機」)を製作する。
[成果の内容・特徴]
  1. 開発機は、機体が傾斜しても薬液散布むらが生じないように、点滴灌水用の圧力調整付定流量型 ドリッパーを取り付けた傾斜地対応の農薬散布ユニットを装着している。
  2. 開発機は、利用目的を防除作業のみに絞り、エンジンや運転席の位置を下げて、全高および重心高を 低くしている(図1)。前後方向の静止転倒角は48°、 左右方向の静止転倒角は50°以上、駐機できる限界傾斜度は上向きタンク満水(水量100L)状態において 26°で、斜面安定性能が高い。
  3. 開発機は、平均傾斜度15°までの等高線うねの茶園で乗機したままうね移動が可能で、10aあたりの 作業時間は平坦茶園と同等である。うね移動では歩行操作が可能で、10aあたりの作業時間が10分程度 長くなるが、安全に運転操作ができる(図2)。
  4. 開発機の薬剤付着状況については、慣行200L/10a手散布に対する開発機100L/10a散布は有意に劣るが、 開発機125L/10a散布は慣行手散布並の付着面積率が得られる。慣行400L/10a 手散布に対して開発機 200L/10a 散布および250L/10a 散布の付着面積率は有意差がなく、開発機200L/10a散布は慣行400L/10a 手散布と同程度の付着面積率が得られる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. うね幅1.8m、摘採面の曲率半径が3000mmの茶園で、平均傾斜度15°までの等高線うねで利用できる。
  2. うね移動や旋回のために幅員3m程度の通路が必要である。特に茶園の端で段差がある場合は、機械が 滑落する危険性があるので、十分な空間を確保する。また、茶園への進入路や通路の段差は事故の 原因となりやすいため、段差を緩やかにする園地整備が必要である。
  3. 開発機を用いて防除を行うと、主要病害虫に対して慣行散布量の半量〜5/8量の減量散布で、慣行 散布並の実用的な防除効果が期待できる。
  4. 送風式農薬散布ユニットを送風式捕虫ユニットと交換すると、傾斜地茶園対応の乗用型送風式捕虫機と して使用できる。
  5. 開発機は市販される予定である。開発機の使用法や注意事項等をまとめたマニュアルを作成している。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 中山間地茶園向け防除作業機の開発と減農薬防除技術の確立
予算区分 実用技術
研究期間 2007〜2009度
研究担当者 竹若与志一(滋賀茶指)、角川修(野菜茶研)、寺田均(寺田製作所)、西野英治(滋賀茶指)、村井公亮(滋賀茶指)、深山大介(野菜茶研)、荒木琢也(野菜茶研)、米山誠一(岐阜農技セ)、若原浩司(岐阜農技セ)、寺田勝二(寺田製作所)、北田与志照(信楽茶協)

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