四国地域における作期による登熟気温差と玄米成分・米飯の粘り評価の関係
[要約]
アミロース含有率と粘り評価の関係は
作期
により異なり、
登熟期の気温
が高い作期では、米粒中の
アミロース含有率
の低下にも関わらず
粘り評価
は低下した。その要因は、
26
℃以上の登熟気温下における
カリウム含有量
の急激な増加であった。
四国農業試験場・作物開発部・栽培生理研究室 [連絡先]0877-62-0800 [部会名]総合農業・作物生産 四国農業・作物生産 [専門]栽培 [対象]稲類 [分類]研究
[背景・ねらい]
米飯の粘りとの関連が強いアミロース含有率は、登熟期の気温により変動するが、登熟期の気温の高い場合にはアミロース含有率の食味に及ぼす影響が小さくなることも報告されている。四国地域は作期間の気温の差が大きく、作期によっては登熟期の気温がかなり高くなる。そこで、このような条件下での作期による登熟期間の気温差と玄米成分・米飯の粘り評価の関係について明らかにするために、供試
6
品種のうちアミロース含有率の低い品種(キヌヒカリ、コシヒカリ、ヒノヒカリ)、比較的高い品種(日本晴、オオセト、コガネマサリ)を分けて検討した。
[成果の内容・特徴]
作期を変えて栽培したときのアミロース含有率は登熟期の気温との関連が強く、登熟期の平均気温(出穂後
30
日間)が高いときに低下する(
図1
)。
一般に、アミロース含有率が低くなると粘り評価は向上することが知られているが、登熟期の平均気温が
26
℃以上に高くなると、アミロース含有率が低下しても粘り評価は向上せず、逆に低下する(
図2
)。
登熟期の平均気温が
26
℃以上に高くなると、米粒中のカリウム含有量が急激に増加する(
図3
)。
カリウム含有量が増加すると、粘り評価は低下する(
図4
)。
以上の傾向は、アミロースの低い品種、アミロースの高い品種において、それぞれ同様に認められる。
以上から、登熟期の平均気温が
26
℃以上に高くなると、米粒中のアミロース含有率の低下による粘り評価の向上は認められず、このとき増加するカリウムが粘り評価を低下させることが示唆された。
[成果の活用面・留意点]
水稲の登熟期の気温が高い地域において、水稲の作期の変動に対応した良食味栽培法の確立のための基礎的知見として活用。
[その他]
研究課題名:水稲の高品質化栽培技術の解明
予算区分:経常
研究期間:平成
5
年度(平成
3
~
5
年)
研究担当者:吉永悟志、小林廣美、長田健二、高梨純一
発表論文等:暖地水稲における米飯の成分・粘り評価に及ぼす登熟気温の影響、日本作物学会紀事、
63
(別
1
)、
1994
。
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