中国四国の地域特性を反映した農林業公社の機能と問題点

[要約]
中国四国中山間地域では、農林地保全・管理と新たな担い手の育成を主要な目的とした農林業公社が数多く設立されているが、運営改善のためには作業効率の向上や特産品の開発・販路拡大に向けた支援方策が必要である。
四国農業試験場 地域基盤研究部 地域計画研究室
[連絡先]0877-62-0800
[部会名]営農
[専門]経営
[対象]
[分類]研究

[背景・ねらい]

中国四国では、最近、数多くの農林業公社が設立されているが、これらの地域農林業振興に果たす役割や課題を明らかにすることが必要となっている。そこで、農林業公社の地域特性や運営状況、今後の課題について検討を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 中国四国には、に示すように数多くの農林業公社があるが、そのはとんどは過球化・高齢化と耕作放棄問題が深刻化する中山間地域において設立されている。
  2. このうち、中国中山間地域では、水田の保全・管理のための作業受託を中心とする「農業公社」が多いのに対して、四国中山間地域では、人工林率の高さ(四国63%、中国40%)を反映した「林業会社」や、地域産業の振興を担う「むらづくり公社」の設立が先行している。
  3. 以上のような農林業公杜の設立状況は、中国中山間地域が「盆地型」であるのに対して、四国中山間地域は「峡谷型」であるという地域特性を反映している。この点は、水田率(中国76%、四国51%)や水田整備率(中国42%、四国22%)の違い、さらには中国が米(35%)と畜産(35%)で粗生産額の7割を占めるのに対して、四国は野菜(29%)と果実(22%)、畜産(23%)が中心であるという作目構成の違いにも現れている。
  4. 問題点として、作業受委託を中心とする公社では、農業公社・林業会社とも、農林地基盤の劣悪牲に制約されて作業の効率性が劣り、現在の所は、赤字運営を余儀なくされているものがほとんどを占めている。これら作業の効率性確保のためには、町村による基盤整備や農林道整備事業との連動が不可欠であるとともに、事業の多角化も必要となる。
  5. また、地域農林業の振興や新たな担い手の育成・確保のため、新作物の導入や特産品開発を目指す「むらづくり公社」も多いが、事業規模が未だ小さく、収益事業として自立可能となっているものは少ない。特産品開発や販路拡大に対する支援が必要である。
  6. 今後の課題として、設立後間もない公社が多く、今後設立を予定している自治体も多いが、5年程度の活動の後に、改めて収益事業と公益事業とを仕分け、支援方策について再検討することが、公社の運営改善上も重要となる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 中山間地域における農林業公社の現状把握と再編方策に際して、参考となる。

 [その他]
 
研究課題名:中山間地域における担い手像の解明
予算区分  :特研〔担い手〕
研究期間  :平成6年度(平成4~6年)
研究担当者:増渕隆一、山田隆一、高橋弘江
発表論文等:増渕隆一:「中山間傾斜地農業の実情」(中山間地域対策)日本農業年報40、P57~73、1994。
        増渕隆一:「農業・農村高齢化に対応した四国地域農業の再編課題」(四国農試研究資料13号)P78~89、1994。
 
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