粘質基盤整備水田でのパンブレーカによる土壌物理性改善

[要約]
粘質基盤整備水田で、排水性改善および土壌物理性の改善を目的として、パンブレーカにより心土を破砕する場合、破砕処理間隔は1m間隔より40㎝間隔の方が効果が大きい。収量は3年間の平均で407kg/10aとなり77%増収した。また、物理性の改善効果は、ビール麦-水稲作付体系でビール麦3作目のは種前まで維持されていた。
徳島県立農業試験場・農芸化学科・作物科
[連絡先]0866-74-1660
[部会名]生産環境(土壌肥料)
[専門]土壌
[対象]麦類
[分類]普及

[背景・ねらい]

基盤整備水田では、ほ場整備時に表土処理や整地のため大型機械が稼働し、下層土が圧密され土壌物理性の悪化がおこる。そのため畑作利用時には排水が悪く、定植や播種準備等の適期作業が行えないほか、湿害等により生育が不良になったり、収量が低下することが問題となってきた。
そこで本研究では、細粒灰色低地土の粘質基盤整備水田において排水性と土壌物理性を改善するため、心土破砕機としてパンブレーカを用い、その土層改良効果および作物の増収効果を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 心土破砕処理を行う場合、無処理に対する土壌の排水性およびど-ル麦の収量の増収率(図1)から判断して、施工間隔1mで探さ50㎝よりも、40㎝間隔で探さ30㎝の方がよい。
    心土破砕処理は、クローラトラクター(65馬力)に装着されたパンブレーカを土層内にくい込ませて牽引し、その力により心土に亀裂をつくる方法である。
  2. 土壌の基準侵入度は、水稲後に心土破砕処理をすることでビール麦跡地でも大きくなり、排水性が改善される(図1)。また土壌の硬度は、探さ25㎝付近まで25kg/㎠以下となり、より下層まで膨軟になり、その効果はヒール麦3作目のは種前まで持続できる(図2)。
  3. ビール麦の生育は、初期では差が見られないが、生育中期、後期になると心土破砕処理をした方が生育が旺盛になり、穂数も多く確保できる(表1)。
  4. ビール麦の収量は、心土破砕処理をすることにより穂数が多くなり増収する(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 水稲収穫後に心土破砕処理をした場合、田植えは心土破砕と交差する方向に行う方がよい。
    また、田植えを心土破砕の溝と並行にせざるを得ないときは、作業に支障がないように機械の爪の深さを調節したり、溝を避けるように作業することが必要である。
  2. 心土破砕処理の効果は、田畑輪換より普通畑として利用した方が長続きすると思われる。

 [その他]
 
研究課題名:基盤整備田の畑地利用における生産性向上対策
予算区分  :国補
研究期間  :平成6年(平成3~7年)
研究担当者:松家義克、葉柳清照、林 純二、井方宏典
発表論文等:なし
 
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