ヨシの敷草処理による水稲の無除草剤・無肥料栽培

[要約]
自給資材を用い、最小限に投入資材を減らした水稲栽培において、田面へのヨシの敷草処理は、有効分けつ期頃の処理で高い抑草効果を発揮した。さらに、ヨシには肥料効果があり、幼穂形成期頃の処理で、3年間平均して慣行農法の8割程度の収量を維持した。
徳島県立農業試験場 農芸化学科
[連絡先]0866-74-1660
[部会名]生産環境(土壌肥料)
[専門]土壌
[対象]稲類
[分類]指導

[背景・ねらい]

近年、無化学肥料や無農薬で栽培した米の需要が高まってきている。この無化学肥料、無農薬栽培にも様々な方法があるが、本研究では、自給資材を用い、さらに環境負荷を最小限にした栽培として、資材の投入を行わない栽培と、本県における自然農法の現場で雑草対策のために行われているヨシの敷草処理を用いた栽培に着目し、平成4年から平成6年の3年間試験栽培を行った。圃場はこれまて慣行農法を続けてきた場所を用い、生育、収量について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 移植後32日目にヨシの敷草処理を条間に行うと、除草剤を施用したときとはぼ同じ抑草効果が認められた(表1)。
  2. ヨシの敷草(移植後53日目)を行うと、葉色は他の栽培と比べて同等かそれ以上になり、葉中全窒素も教学を敷草を処理しなかった水稲に比べ敷草後14日目に約0.6%増加した。一方、敷草をしたヨシ自体の全窒素は約1.2%減少した。敷 草は500kg/10a行ったので、約6kg/10aの窒素が溶出したと試算でき、この一部がイネに吸収されたと考えられた(表1図1) 。
  3. ヨシの窒素溶出試験の結果、インキュベーション14日目には乾燥試料1g当たり3㎎以上のアンモニア態窒素が溶出したが、稲ワラでの溶出は極めて少なく、ヨシに肥料効果があることが裏付けられた(図2)。
  4. 資材の投入を行わなかった栽培、伸び、敷草のみを行った栽培での収量は2年目に大きく3年目にさらに増加した。
    各年の収量を慣行栽培(平均収量493kg/10a)と比較してみると、ヨシの敷草処理のみを用いた栽培で慣行栽培の68~103%(平均収量430㎏kg/10a)、何も投入しなかった栽培でも54~68%(平均収量320kg/10a)が確保できた(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ヨシの敷草処理によって、資材無投入の場合より収量を高めることができ、さらに油かすなどの有機資材を併用すれば、より収量を上げる方法があると思われる。

 [その他]
 
研究課題名:水稲-野菜作付体系における自然的有機農業の確立
予算区分  :県単
研究期間  :平成4~6年度
研究担当者:黒田康文、波多間美貴子
発表論文等:なし
 
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