合成牲フェロモン剤の利用によるサツマイモ畑のハスモンヨトウ防除

[要約]
サツマイモ栽培地帯に発生するハスモンヨトウに対し、交信攪乱用の合成性フェロモン剤を大規模に設置することにより、高い交信攪乱効果及び防除効果が得られる。
徳島県立農業試験場 病虫科
[連絡先]0866-74-1660
[部会名]生産環境(病害料)
[専門]作物虫害
[対象]根菜類
[分類]研究

[背景・ねらい]

徳島県のサツマイモ栽培地帯では昭和52年頃よりハスモンヨトウの防除の一手段として、大量誘殺用のフェロモントラップを設置してきた。しかし、その効果は初期密度の低いときにはその後の発生を抑制することができるが、密度の高くなる8月上旬から9月上旬には抑制することができない。その上、近年ではメソミル水和剤、合成ピレスロイド剤に抵抗性を獲得した個体群が出現し、生産現場では薬剤による防除が困難となっている。
そこで、薬剤の使用を少なくした総合的な防除体系を確立するため、交信攪乱用の合成性フェロモン剤を利用した防除法を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. ハスモンヨトウの交信撹乱用の合成牲フロモン剤(有効成分:(Z、E)-9、11-テトラデカジエニル=アセテートおよび、(Z、E)-9、12-テトラデカジエニル=アセテートの9:1の混合物を合成樹脂で被膜した針金状のデスペンサーに150㎎封入したもの、1本の長さ20㎝、以下フロモンデイスペンサーという。)を3本1組に し、長さ約60㎝の支柱の先端に取り付ける。これを栽培地全域(50~70ha)に約5m間隔、10畦おきに、畦の側面部、畦上約30~40cmの高さにフエロモンデイスペンサーが位置するように設置する。処理量は10a当たり約100本とし、処理期間は5月下旬頃から収穫時の9月中旬とする。なお、早堀りの際に取り除いたフロモンデイスペンサーはいくつかまとめて立てておき、できる限りフロモンの空白地がないようにする。
  2. ロモンデイスペンサーを処理することにより、モニタリング用のフロモントラップへの誘殺はわずかしか認められず、つなぎ雌の交尾率も低い(表12)。このことから、高い交信撹乱効果があると考えられる。
  3. また、その結果としてふ化幼虫集団の発生密度は低く推移し、比較的高い防除効果が得られる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 交信攪乱用の合成牲フロモン剤は未登録である。
  2. 処理面積約50ha以下での防除効果は未検討である
  3. 同時発生するシロイチモジヨトウ、ナカジロシタバ等の他の鱗翅目害虫には効果がない。

 [その他]
 
研究課題名:殺虫剤抵抗性ハスモンヨトウの防除体系の確立
予算区分  :国補(地域重要)、県単
研究期間  :平成6年度(平成5~6年)
研究担当者:中野昭雄
発表論文等:なし
 
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