水田からのメタンの発生量の推移

[要約]
水稲の栽培において、麦わらを代かき直前に施用すると、代かき後15日頃にメタン発生のピークがみられた。また、地温が上昇して25℃、酸化還元電位が下降して-200mV付近になると、メタンの発生量が多くなる傾向がみられた。前作の麦播種前の稲わらの施用が、メタンの発生量に及ぼす影響は認められなかった。
香川県農業試験場 土壌肥料担当 
[連絡先]0878-89-1121
[部会名]生産環境(土壌肥料)
[専門]土壌
[対象]稲類
[分類]研究

[背景・ねらい]

大気中のメタンの濃度は、地球の温暖化に影響を与える。有機物を施用した水田からは、その分解に伴いメタンが発生する。メタンの発生量は正確に把握されていない。また、香川県内の水田は遊離酸化鉄の少い圃場が多いために、酸化還元電位が低くなっており、メタンの発生量が多いものと考えられる。そこで、代かき直前の麦わらや、前作の麦播種前の稲わら の施用がメタンの発生量に及ぽす影響を明らかにすると共に、地温や酸化還元電位等との関連を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 代かき直前に麦わらを施用すると、代かき後15日頃を中心に多量のメタンの発生がみられた。前年の秋に稲わらを施用した場合や、有機物を施用しない場合は、メタン発生量が少なく、代かき後35日付近に発生のピークがみられた(図1)。
  2. 代かき後50日以降は、代かき直前に麦わら施用した場合と施用しなかった場合のメタン発生量の差が小さくなったことから、麦わらの大部分の易分解性物は、代かき後50日頃までに分解したものと考えられる(図1)。
  3. 地温が高い時期に、メタンの発生量が多くなる傾向がみられた(図12)。
  4. 酸化還元電位が-200mV付近でメタン発生量が多くなる傾向がみられた(図13)。
  5. 移植日から収穫期までのメタンの発生状況は、試験を実施した3年間(平成4~6年)で類似しており、メタン発生量の累計は、3年間平均で麦わらを施用した場合105g・m-2、稲わらと麦わらを施用した場合は157g・m-2で あった。

    (表1)水稲の耕種概要                                                                      

[成果の活用面・留意点]
  1. 香川県の水田圃場から発生するメタン量を推定できる。また、稲わらや麦わらを施用する際の参考資料になる。
  2. 前年の秋に稲わらを施用した場合には、メタンの発生量が少ないことから(図1)、麦わらや稲わらの堆肥化や早期すき込みなどにより、水田を湛水状態にするまでによく分解しておけば、有機物を施用してもメタンの発生量を少なくすることができるものと考えられる。

 [その他]
 
研究課題名:土壌生成温室効果等ガス動態調査事業
予算区分  :国補(土壌保全)
研究期間  :平成6年度(平成3~6年)
研究担当者:香西清弘、平木孝典
発表論文等:
なし
 
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