温暖地の水稲乳苗移植栽培における薬害面から見た除草剤の適用性

[要約]
 
温暖地の砂壌土では、水稲乳苗は稚苗に比べて除草剤こ対する感受性が高いが、その程度は除草剤の種類及び処理時期によって異なる。また、育苗日数が少ない乳苗 ほど薬害の発生程度が大きいが、植付深度を深くすると薬害が軽減される。
香川県農業試験場 作物担当
[連絡先]0878-89-1121
[部会名]水田・畑作(水田作物)
[専門]栽培
[対象]稲類
[分類]指導

[背景・ねらい]

稲作の低コスト化の一つとして、育苗に要する労力、時間、場所などを低減する栽培法として乳苗移植栽培が実用化されつつある。乳苗移植栽培は、これまでの試験研究によって、一応の技術は確立されたが、まだ改善を要する点が残されている。その一つとして、除草剤による薬害があげられる。
そこで、温暖地の砂壌土における薬害面から見た除草剤の適用牲について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 乳苗は、稚苗に比べて除草剤に対する感受性が高く、その程度は除草剤の種類によって異なる。香川県下で主に使用されている除草剤(表1)のうち、SW-751粒剤、DPX-84M(L)粒剤、TSM-612フロアブルの3剤は薬害程度が比較的軽く、稚苗移植栽培の基準と ほぼ同様に乳苗移植栽培に使用できると考えられる(図1)。
  2. 除草剤の処理時期を遅らせることによって、乳苗の薬害程度は軽減され、稚苗と同程度になる(図2)。
  3. 育苗日数7日の乳苗を基準とした場合、育苗日数が少ない黄化乳苗等では薬害の発現程度が大きく、逆に育苗日数が多いと小さくなる傾向がある(図34)。
  4. 植付深度については、浅植より深植の方が薬害程度は小さくなる(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 乳苗移植栽培においては薬害程度のより小さい除草剤を選定し、施用時期は処理適期内でできるだけ遅い方が望ましい。
  2. 乳苗の苗質は、緑化あるいは硬化が進んでいる方がよく、極端に軟弱な生育とならないように留意する。
  3. 移植に際しては、植付深度は必要以上に浅植にならないようにし、また、移植後に根が露出しないようにする等、植付精度や圃場の均平化にも注意する。

 [その他]
 
研究課題名:水稲良食味安定栽培技術
予算区分  :県単
研究期間  :平成6年度(平成4~6年)
研究担当者:藤田 究、片山哲治、井口 エ、森 芳史 石井清文、井之川育篤 
発表論文等:暖地の水稲乳苗移植栽培における除草剤の適応性、日作紀62別 (1)、(1993).
        水稲乳苗に対する種々の除草剤の適応性、雑草研究38別、(1993)
 
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