ラピッドビスコアナライザーによる全粒粉からの製めん適性の迅速評価

[要約]
ラピッドビスコアナライザー(RVA)で、小麦全粒粉ブレークダウン(BD)から製めん適正簡易評価するため、めんの粘弾性と関連があるビスコグラムのBDと高い相関の得られるRVAでの測定条件を確立した。
香川県農業試験場 作物担当
[連絡先]0878-89-1121
[部会名]水田・畑作
[専門]品質
[対象]麦類
[分類]研究

[背景・ねらい]

高品質小麦の栽培条件を解明するためには多数サンプルの製めん適性を少量で迅速に評価する必要がある。製めん適性の評価項目として、デンプンの糊化特性の一つであるブレークダウン(BD)は官能審査での粘弾性と関連があるとされている。しかし、従来のビスコグラフによる測定法では、原麦を小麦粉に製粉し小麦粉から単離したデンプンが1点につき45g(乾物重)必要で、測定時間は60分程度かかる。
そこで、粘度測定器であるラピッドビスコアナライザー(RVA)を用い、小麦の製めん適性を簡易・迅速に評価するため、小麦原麦を粉砕した全粒粉によるBDの測定法について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. RVAによるデンプンのBDはビスコグラフのBDと相関が高い(表1)。
  2. 全粒粉によるBDは概して相関が低くなるが、使用溶液を変更することによって相関は高くなり、1mMの硫酸銅溶液の相関が高くサンプル間のレンジが広い(表1)。
  3. 測定開始温度が50℃までは各サンプルのBDは安定しているが、55℃以上では変動が大きくなるため、50℃が測定開始温度の上限である(図1)。
  4. サンプル量はデンプン乾物重 〔デンプン量=100-(水分含量+蛋白含量)〕 で調整した。デンプン量3.2gから2.4gまでは適度なサンプル間のレンジが認められるが2.0gではレンジが狭くなるため、デンプン2.4gがサンプルの最小量である(図2)。
  5. 全粒粉の粉砕はブラベンダーテストミル粉砕ではサンプル間のレンジが狭くなるため、市販のコーヒーミルを用いて全量16mesh以下に粉砕する手法が簡便である(図3)。
  6. 上記の条件において7品種系統で測定した全粒粉RVAのBDとビスコグラフのBDの相関は0.967である(図4)。
  7. 以上のことから、次のような測定条件を確立した。
      全粒粉RVA測定条件:サンプル   :16mesh以下に粉砕した全粒粉,
                     サンプル量:デンプン当たり2.4g
                    使用溶液 :1mM 硫酸銅溶液25ml
                    開始温度50℃,加温時間11.8℃/分,最高温度95℃
                    最高温度保持時間7.0分,試験時間11.8分
    よって、製めん適性に関与するデンプンのBDは、本法によりデンプンから分離することなく、全粒粉から簡易測定が可能である。測定法としては、測定時間を従来の約1/5,試料量を約1/20にすることができ、迅速少量測定が可能である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本迅速評価法は、小麦の高品質化のための栽培条件の解明に活用できる。

 [その他]
 
研究課題名:高品質小麦の生産を中心とした水田輪作体系化技術の確立
予算区分  :地域特定
研究期間  :平成5年(平成3~5年)
研究担当者:大川俊彦,片山哲治
発表論文等:なし
 
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