高知県における水稲「あきたこまち」の特性と適応性

[要約]
水稲あきたこまちは早期栽培では8月上旬、普通期栽培では8月下旬収穫可能な早生の粳種である。食味は良好で、耐病牲、耐倒伏性もコシヒカリに比べ強いことより、中山間地域の販売しやすい良食味品種として、また早期栽培では自主流通米のリレー出荷において、ナツヒカリ、コシヒカリをつなぐ良食味の中間熱期品種として利用できる。
高知県農業技術センター・作物園芸部・遺伝資源科
[連絡先]0888-63-4916
[部会名]水田・畑作
[専門]育種
[対象]稲類
[分類]普及

[背景・ねらい]

高知県の中山間地域の普通期栽培においては、従来の中生種から脱却して販売しやすい早生品種を導入する要望が強かった。また、流通業界からも県内向けに早期米と普通期米をつなぐ品種の導入が求められていた。さらに、早期栽培においてはリレー出荷を行ううえでナツヒカリ、コシヒカリをつなぐ中間熟期の良質、良食味品種が必要であった。このため早期、普通期栽培に共通して栽培できる品種の選定が望まれていた。

[成果の内容・特徴]
  1. 出穂期、成熟期はコシヒカリより早期栽培では8日程度、普通期栽培では5日程度早く、早期栽培では8月上旬、普通期栽培では8月下旬に収穫可能である。
  2. 稈長はコシヒカリより11cm短く、穂長はやや短い。穂数はやや少ない。
  3. 脱粒性は難、穂発芽牲および耐倒伏性は中である。
  4. 耐病性はいもち病および紋枯病には中、白葉枯病には弱である。
  5. 玄米の形状はコシヒカリよりやや長い。千粒重は早期ではコシヒカリよりやや大きいが、普通期ではほぼ同等である。
  6. 品質は上の中、食味はコシヒカリにちかく良好である。
  7. 収量性はコシヒカリより小さい。
        表1 あきたこまちの主要特性       
       表2 奨励新品種決定調査における育成・収量        
       表3 現地調査における収量比    
       表4 食味官能試験
[成果の活用面・留意点]
  1. 早期、普通期栽培のいずれにも作付けが可能であり、早期栽培ではナツヒカリとコシヒカリをつなぐ良質、良食味品種として、また、普通期栽培では販売しやすい県内向け早生品種として導入できる。
    栽培上の留意点
      ①耐倒伏性が不十分であるので、多肥栽培や野菜跡作には適しない。
      ②いもち病には抵抗性遺伝子を持つが、圃場抵抗性は十分でないため、基幹防除に努める。
      ③登熟期に下葉枯れが早いので早期落水を避ける。
      ④普通期栽培における、早植えによる早進化効果は小さい。

 [その他]
 
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分  :国補
研究期間  :平成6年度(昭和60~63、平成3~4、6)
研究担当者:中村幸生、亀島雅史、溝渕正晃
発表論文等:なし
 
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