施設内で挿苗育苗したシバポット苗を利用するシバ草地短期造成法

[要約]
セルトレイを利用して「シバポット苗」をハウスで2カ月間加温・育苗し、現地に2pot/㎡以上の割合で移植、同時にスポット施肥(N、P205、K20各1.5g/pot)することにより、慣行法(植芝法)で4~5年を要していた造成期間を1~2年に短縮することができる。
高知県畜産試験場・経営飼料科
[連絡先]0899-22-0044
[部会名]畜産
[専門]農地整備
[対象]野草類
[分類]普及

[背景・ねらい]

従来、シバ放牧草地の造成に用いられてきた植芝法は完成までに4~5年を要していたため、造成期間中の農家負担が経営を圧迫してきた。そこで、シバ草地の短期造成(1~2年間で被度60%以上)を図るため「シバポット苗」の育苗方法、移植後の肥培管理ならびに放牧を用いた雑草管理を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 市販のセルトレイに肥料・ゼオライト(各5%)を混合した育苗培土を入れ、7cm程度の長さに切断した葡匐茎を挿苗し、ハウスで2カ月以上育苗することにより、充実した根、葉、葡匐茎を備えた「シバポット苗」を育成できる。この「シバポット苗」を4月上旬に現地に移植、人力と放牧午を使って効率的に雑草管理する。また、連続的に育苗を行い、6月、9月に移植することによりさらに造成面積を拡大できる(図1)。
  2. 現地園場に移植するシバポット数は2pot/㎡以上を基本とする。旱魃、放牧牛による食傷・蹄傷等の被害を最小限に止めて早期に確実な定着・拡大を促進するためには、平坦地、テラス状地、山頂付近の平坦地など日当たりのよい地形を主体に移植ポット数を4pot/㎡に増やして移植し、定着した箇所を起点に全面被覆を図る。また、N、P205、K20 各1.5g/potを移植時にスポット施肥することにより被度拡大速度を高めることができる。以上の方法で1~2年間で被度60%以上を達成できる(図2)。
  3. 急傾斜地での移植作業は、2人1組(穴掘り兼肥料入れ1人、ポット苗植え付け1人)を最小単位とする。また、4人1組(穴堀り1人、肥料入れ1人、ポット苗植付け2人、ポット苗ほぐし・運搬は全員で行う)体制で1チームを編成し、多人数で一斉に移植を行う場合、必要な指示のできる監督を全体で1人配置するとより効率がよい(表1、表2)。
  4. 育苗から移植までのシバ草地造成コストは370,240~468,000円/haと試算されるが、作業員の習熟に伴い育苗作業時間が大幅に短縮される可能性がある。短縮された期間中の雑草管理コストを考慮すれば慣行法よりも有利である(表3、表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. シバ草地短期造成マニュアルを作成して普及を図る。

 [その他]
 
研究課題名:暖地急傾斜シバ草地の短期造成技術の確立
予算区分  :国補(地域重要)
研究期間  :平成6年度(平成4~6年)
研究担当者:川原尚人、岡本一志、山崎清人、米田佐知、日高亜紀
発表論文等:シバポット苗を利用した暖地急傾斜シバ草地の短期造成技術 第1報、日草誌、40巻(別)、1994。
 
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