ハウスミカンの水分制御による花芽分化促進

[要約]
ハウスミカン栽培において、加温前2か月間、屋根掛けビニール被覆によりあるいは透湿シートの土壌マルチにより、土壌pF値を2.7以上に水分制御することによって、花芽分化を促進させ加温後の着花数を増加させることができる。
徳島県果樹試験場・栽培科
[連絡先]08854-2-2545
[部会名]果樹
[専門]栽培
[対象]果樹類
[分類]普及

[背景・ねらい]

水分制御によるウンシュウミカンの花芽分化促進効果はすでに知られているが、施設栽培において着花安定を図る技術として確立するために、効果的な水分制御の時期・程度・方法について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. ポット植え幼木(2年生)を用い、水分制御の程度をかえて10月1日から40日間あるいは60日間土壌乾燥処理を行い、12月1日に加温した。水分制御の期間は60日、水分制御の程度は軽度で土壌乾燥を行うことによって、加温後の着花数が増加した(第1表)。軽度区の水分制御の程度は、葉内水分ポテンシャルで-2.0~-3.0MPaであった。
  2. ハウスミカン園において、10月5日から加温開始まで2か月間屋根掛けビニール被覆によって土壌乾燥処理を行い、12月6日に加温した。被覆約20日以降、土壌pF値を2.7以上に制御でき、加温後の着花数が増加した(第2表)。
  3. ハウスミカン園において、夏季せん定と加温時期を第3表のように設定し、樹の周囲を溝切りし、9月28日~11月14日の間樹冠下を透湿性シートで被覆し、約1か月半土壌乾燥処理を行った。被覆約20日以降、土壌pF値を2.7以上に制御でき、加温後の着花数が増加した(第3表)。
  4. 屋根掛けおよびマルチによる土壌乾燥によって、加温後の樹勢への影響は認められなかった。
  5. 以上の結果、加温前2か月間土壌pF値で2.7以上に水分制御することによって、加温後の着花数を増加させることができる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 屋根掛けビニール被覆法が手間・コストの点で有利であるが、処理期間は台風襲来時期にも当たり、災害に遭遇することも考えられるので、排水対策の取れる園地では透湿シートによる土壌マルチ法も利用できる。また、2か月間の土壌乾燥は、園地によっては過度の乾燥となり、樹勢衰弱を招く場合があるので注意する。

 [その他]
 
研究課題名:水分制御による花芽分化促進技術の確立
予算区分  :特定農産物緊急技術開発事業             
研究期間  :平成元年~5年度
研究担当者:柴田好文・佐金信治・長谷部秀明・小池明・佐尾山祥史・安宅雅和
発表論文等:なし
 
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