ミツバチ誘引剤(フェロモン)によるナシ授粉作業の効率化

[要約]
ミツバチ誘引剤(BEE-SCENT)を開花初期のナシ園に散布すると、他の蜜源へのミツバチの飛散を阻止して、ナシ園への定着効果が高く、ミツバチによる受粉作業の省力化が図られる。
徳島県果樹試験場・県北分場・落葉果樹科
[連絡先]0886-94-2712
[部会名]果樹
[専門]栽培
[対象]果樹類
[分類]普及

[背景・ねらい]

ナシ栽培に人工授粉は不可欠であるが、採花・採葯・純花粉調整・授粉と短期間に作業が集中している。このため従前からミツバチ等訪花昆虫を活用して、省力化が検討されてきたが、ミツバチはナシ園導入2日後には、他に蜜源を求めて飛散するという問題点があった。そこで、ミツバチ誘引剤( フェロモン)(BEE-SCENT:セントリー社:300倍,10a  150L)を用いてミツバチのナシ園の定着効果ならびにミツバチによるナシ授粉作業の省力化について検討した。
 

[成果の内容・特徴]
  1. 品種別差異 : 豊水・幸水とも誘引剤処理によりミツバチの訪花数は明らかに増加し、とくに豊水の嗜好性が高い。
  2. 花粉採集判定 : 巣に帰ってくるミツバチの足のミツ団子の色でナシかレンゲの花粉かを区別できる。 
  3. ミツバチによる花粉採集:処理前には、ミツバチの大半がレンゲ花粉を採集していたが、誘引剤を処理すると処理1日後(80%)、2日後(66%)と高いナシ花粉採集率を示し、開花終了時には、ミツバチの大半(71%)が再びレンゲを花粉源とした(第1表)。
  4. 着花率 : BEE-SCENT処理(人工授粉なし)により豊水・幸水の着果率は、短果技・長果技とも無処理区より高い着果率が得られる(第2表)。
  5. 授粉樹の混植:授粉樹からの距離と幸水の全種子数の関係は、距離が離れるに従い減少する高い負の相関(5%)が見られる(第1図)。
  6. 授粉樹と被授粉樹の距離は比較的近い距離(10~15m)に均等な配置が望ましい。
  7. 経費的には人工授粉を含めて約1/2程度となる(第3表)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 授粉樹と被授粉樹(一例 : 豊水と幸水)との開花日が接近している通常年は、ミツバチ授粉は効果が高いが、開花日に差がある年には人工授粉が必要である。
  2. 近隣圃場と協調して開花期前後の殺虫剤散布を中止する。
  3. ミツバチ利用園の周辺は、開花期がナシと一致する草花・牧草類を栽培しない。

 [その他]
 
研究課題名:ミツバチ誘引剤によるナシ授粉効果試験
予算区分  :県単
研究期間  :平成2~6年度
研究担当者:赤井昭雄、佐尾山祥史、三木 晃
発表論文等:平成3年度園芸学会中四国支部発表要旨
        平成5・6年落葉果樹試験研究成績概要集(栽培編)
 
 
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