ヤマモモの果実生理障害の原因究明

[要約]
ヤマモモの果実に発生する生理障害(実焼け症)の原因について検討した。その結果、ヤマモモは地上部の発達に比べ、地下部の発達が劣るため、根からの吸水力が少なく、果実と葉で水分競合が起こるために発生すると考えられた。
高知県農業技術センター果樹試験場・常緑果樹科
[連絡先]0888-44-1120
[部会名]果樹
[専門]栽培
[対象]果樹類
[分類]指導

[背景・ねらい]

実焼け症はヤマモモの果実におきる障害で、果肉が正常な肥大をせず、食する時果肉が固く、ヤマモモ本来の食味が感じられなくなる。そのため、この原因を解明し、実焼け症の発生防止方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 実焼け症の発生は着果量が多い樹に多く、ブルドーザー開園等の耕土の浅い、園地での発生が多い。(表1
  2. 実焼け症の多発樹では5月中旬の幼果期から発生が認められる。(図2
  3. 寒冷紗による遮光処理(30%)や敷きわらでは、実焼け症の発生防止に効果がみられない。摘果処理により若干の発生防止効果があるが、発生率で4%、発生度で8程度の防止効果しかみられない。
  4. 実焼け症の発生が多い樹では発生の少ない樹に比べ、地下40cmでの土壌水分量が少なく推移していた。また、三相構造においても固相率が高く、孔隙率が低い。 (図2
  5. ヤマモモの地上部は直立するのに対し、地下部は直根が全くみられず、浅根性で大部分の根が地下40cm程度までに分布している。(図1
  6. ヤマモモの地上部は地下部の2.7倍もあり、特に葉の量は地上部の25%と多い。地下部では細根の占める割合が1.9%で極めて少ない。(表2
  7. 以上のことから、ヤマモモの実焼け症の原因は、地上部の葉の量に比べ、地下部が貧弱で細根が少ないため、地下部からの水分吸収と葉からの蒸散がアンバランスになり、葉と果実での水分競合が起こるためと推察される。摘果、遮光等の地上部の制御だけでは実焼け症の発生防止には、顕著な効果が認められず、実 焼け症の発生防止には土壌条件を改善し、根群を発達させることが必要と考えられる。 (表2
[成果の活用面・留意点]
  1. 摘果による被害軽減では全面間引き摘果のほうが亜主技別全摘果より効果が大きい。

 [その他]
 
研究課題名:ヤマモモの青果安定技術の確立
予算区分  :国補(地域重要)
研究期間  :平成2年~平成6年
研究担当者:田中満稔、谷岡秀明、青木俊和、川上幹男
発表論文等:なし
 
目次へ戻る