イチゴの促成栽培における北海道育成苗の利用

[要約]
北海道の畑作農家にイチゴ育苗を依託し、生産された成苗を購入して促成栽培に用いると、収穫開始時期は遅れるが、比較的高い収量が得られ、省力効果は非常に大きい。
香川県農業試験場 三木分場
[連絡先]0878-98-0004
[部会名]野菜・花き・茶(野菜)
[専門]栽培
[対象]果菜類
[分類]指導

[背景・ねらい]

イチゴの促成栽培における育苗作業は長期間にわたり、しかも不自然な姿勢や重労働をともなうため、省力化技術が求められている。そこで、北海道の畑作農家に育苗を依託し、養成された苗を秋に買い取り栽培に供する、育苗依託によるイチゴ生産方式について検討した 。

[成果の内容・特徴]
  1. 北海道の畑地に植え付けた親株からランナーを発生させ、無仮植育苗の形態で苗の養成を行う。秋に機械で堀り上げ、保冷車で輸送する。イチゴ生産農家は、ランナーの切り離しなど、苗を調整して定植する。(図1
  2. 北海道における苗の養成数は、気温が低い年(例:平成5年)はランナーの発生が鈍く、第1~2ランナーを中心に親株1株当たり10~15本、気温が高い年(例:平成6年)は第2~3ランナーを中心に25本程度である。
  3. 定植後の生育が慣行のポット苗より旺盛なため、基肥量は慣行より控える。
  4. 収穫開始は慣行のポット苗より遅い12月中旬以降となり、年内収量は期待できないが、低温期の収量が多く、4月末までの総収量は同程度かやや多くなる。(図2
  5. 苗入手後すぐに定植できない場合は低温貯蔵を行う。5℃、1週間の貯蔵では影響は少ないが、3週間では茎葉にいたみがみられるほか、開花、収穫が大幅に遅れる。(表1
  6. 育苗中の天候にもよると思われるが、9月上旬の掘り上げでは花芽分化が不安定で、開花が遅れるものがみられる。9月下旬に掘り上げを延期すると花芽が安定し、開花時期は上旬堀り上げと変わらないが、初期収量はやや劣る。(表1
  7. 品種は女峰を用いる。他品種の適応怯については未確定である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 苗を購入する側は促成栽培地帯に適用できる。
  2. 年内多収をねらう作型には適応しない。
  3. 掘り上げ時期、使用できる苗の本数やステージなどは、年による変動が大きいため、その都度判断する必要がある。
  4. 苗養成先では夏期の気温が低く、また連作の可能佐が小さいため、炭そ病、えき病、萎黄病などの発生軽減が期待できる。

 [その他]
 
研究課題名:イチゴの促成栽培における北海道育成苗の利用
予算区分  :県単
研究期間  :平成6年度(平成4年~7年)
研究担当者:近藤弘志
発表論文等:イチゴの新育苗技術「リレー苗」、農業香川、 第47巻第2号、平成7年
 
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