傾斜地の野外飼育施設における傾斜蚕座の利用法

[要約]
 
傾斜地桑園内での簡易野外飼育施設において、傾斜蚕座縦列給桑を組み合わせた飼育法により、一人で行う給桑及び廃条処理作業時間が大幅に軽減される。
徳島県蚕業技術センター・資源応用科
[連絡先]0883-24-2217
[部会名]蚕糸
[専門]飼育管理
[対象]蚕
[分類]普及

[背景・ねらい]

山間傾斜地の養蚕作業における、養蚕婦人一人を想定した作業体系において、効率的な繭生産を行うため、野外飼育の省力技術である5齢隔日給桑法と放置自然上蔟法に加え、簡易野外飼育施設と飼育法の改良により生産費と作業時間の低減を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 野外飼育においては、一人作業を前提とした小型組立式飼育蚕座(W1,200、L1,600、H1,650cm:1箱用)を使用する。また、屋根の被覆資材にはアルミ蒸着シートを用い低温時は黒色面を 表に、高温時は逆に銀色面が上部になるよう被覆する。                                                                      また、廃条処理を容易にするため、蚕座の側壁部分は取り外し可能なものとする(図1)。
  2. 5齢隔日給桑法は2日分の給桑量を一度に給桑する方法で、第2回目からの隔日給桑が可能で、隔日給桑回数が多い程省力効果が大きい。高温時或いは低温加温時は1日1回給桑法とを組み合わせる。また、蚕座被覆は農業用不織布で被覆する。
  3. 傾斜蚕座の素材は、経費的に安価な杉材と割竹の組み合わせとする。傾斜角度は15度が適当である(表1)。
    これに野外蚕座および傾斜蚕座の作製に必要な経費は150,640円と試算される。
  4. 傾斜蚕座と縦列給桑法の組み合わせにより、傾斜蚕座区は、給桑時間で30%以上、上蔟後の廃条処理でも40%以上対照区より短縮し効率的である(表1表2)。
  5. 蚕座位置を地表面としたL区は、蚕座上遮光容積が増加したため、計量形質が増加する傾向で、飼育温度も1℃余り低い。
  6. 高温時には傾斜蚕座の位置を低くすると、温度が低く、収繭量、5齢時間当たり生産額が高く、作業効率も良好である(表2)。
  7. 放置自然上蔟法は、熟蚕発生初期に籾殻を散布し、熟蚕の出現に合わせて蔟器(自然蔟)を蚕座上にセットし自然上蔟させ、野外施設内で蔟を懸垂し、収繭時期まで保護・管理する。必要に応じて、低温時には練炭等による補温を行う。
[成果の活用面・留意点]
  1. 適用地域は、温暖地山間傾斜地。
  2. 高温時及び低温補温時は残葉が堆積しないように調節する。

 [その他]
 
研究課題名:四国山間傾斜地におけるアメニティ養蚕新技術の開発
予算区分  :地域重要新技術
研究期間   :平成6年度(平成5~6年)
研究担当者:河野明義、佐藤泰三、平川文男、岡本征二、谷口安孝、井川明美
発表論文等:野外育における自然放置上蔟法1、日本蚕糸学会関西支部合同研究発表会 講演要旨集、55号、1989。
        野外育における自然放置上蔟法2、日本蚕糸学会関西支部合同研究発表会 講演要旨集、56号、1990。
        野外簡易飼育施設における傾斜蚕座の導入と省力化対策について、日本蚕糸学会関西支部合同研究発表会講演要旨集、60号、1994。
 
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