新梢の秋期ポット挿しによる桑稚苗簡易大量生産法

[要約]
 
9月の再発枝を利用し、ポット挿しにより小面積の苗床で桑稚苗を大量生産することが可能である。これにより多量の桑苗を必要とする密植桑園等での機械植えによる省力的で低コストな桑園造成が期待できる。
愛媛県蚕業試験場・研究指導室・栽桑分析班
[連絡先]0893-25-3039
[部会名]蚕糸
[専門]栽培
[対象]工芸作物(桑)
[分類]普及

[背景・ねらい]

従来の桑苗生産法は育苗に1~2年を要し、高価であり、その間の管理作業も必要である。そこで、多量の桑苗を要する密植桑園等の省力的で低コストな桑園造成技術を開発するため、機械植えを想定した新梢ポット挿による椎苗の簡易大量生産法について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 夏切計画残桑の新梢基部収穫後の再発枝又は、春切桑園中伐後の再発技を9月上旬10月上旬に採取し、木質化していない部位を10cm前後で2葉を着生させ、穂木とする。穂木下部を発根促進剤(オキシベロン4倍液)に瞬間浸漬し排水良好な畑土を入れたビニールポット(黒色直径8㎝)、ジフィーポット(直径6~8cm)、育苗箱(畑用育苗箱、50株用でポットサイズ5×5×5㎝)にそれぞれ挿し込み露地の苗圃に置床する。十分潅水後、グリーンフィルム(農ポリグリーン厚さ0.03mm)でトンネルマルチ(幅60cm・高さ50㎝)し、12月下旬~1月上旬にフィルムを除去する。フィルム除去後そのまま3月植付け時まで放置する。
  2. ビニールポット、ジフィーポット、育苗箱による椎苗生産は可能であるが、育苗箱では発根、活着率がやや劣る。
  3. 9月上旬挿で発根したポット苗は、10月上旬挿と比べて主根からの細根等の根量も多く、根張りが良好となる。ビニールポット、育苗箱では発根量が不十分な場合、機械植付の際に培養土が剥離されやすい。
  4. 従来の5月新梢挿桑苗生産法では1a当たり1,500本挿が標準であるが、この9月ポット挿新梢椎苗生産法では8,000~10,000本の大量生産が可能である。

   (図1)ジフィーポット、育苗箱発根状態   (表1)挿し木時期及びポット材質別活着率   (表2)育苗箱による発根率

[成果の活用面・留意点]
  1. 8月中下旬挿は残暑による高温のため枯死しやすい。10月下旬挿は低温により発根不良になる。9月から10月上旬までに挿木するのがよい。
  2. 10月上旬挿の場合、ジフィーポットを利用すれば翌春の本圃植付が容易である。
  3. 植付は3月下旬までに行い、覆土を十分に行う。

 [その他]
 
研究課題名:桑枝本圃直挿しによる簡易桑園造成法の開発
予算区分  :県単
研究期間  :平成6年度(平成4~6年)
研究担当者:中川建也 栗林茂樹 越智照久 越智洋之 高山幹郎
発表論文等:愛媛県蚕業試験場研究要報第14号1993
 
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