天敵糸状菌Beauveria brongniartii 製剤による桑園のキボシカミキリ成虫に対する殺虫効果

[要約]
 
初夏多発型地域のキボシカミキリ成虫に対して天敵糸状菌 Beauveria brongniartii を不織布上に培養した製剤の小片を6月上旬に桑株上に設置することにより、高い殺虫効果が認められる。施用後、分生子は急速に減少するが、約20日間殺虫力が持続され、その期間に発生する成虫の70~80%に感染が認められる。
愛媛県蚕業試験場・研究指導室
[連絡先]0893-25-3039
[部会名]蚕糸
[専門]作物虫害
[対象]工芸作物
[分類]指導

[背景・ねらい]

桑の重要害虫であるキポシカミキリは、幼虫が樹幹内を食害するため、殺虫剤が到達しにくいことや、蚕の飼育とくに多回育との関係から、成虫期の防除に殺虫剤の使用が著しく制約をうけることなどの理由により、その防除には困難な点が多い。そこで、最近開発された昆虫病原糸状菌Beauveria brongniartii 製剤の野外における使用方法とその基礎になる活性の持続性等について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 初夏多発型地域のキポシカミキリ成虫に対して、昆虫病原糸状菌Beauveria brongniartii を不織布上に培養した製剤の小片を6月上旬に桑株上に設置することにより、施用後20日間は10×5cmの小片で約80%、5×5㎝の小片で約70%の殺虫効果が期待できる。 (表1
  2. 施用した製剤の1㎝当たりの分生子数は、当初の108オーダーから、10日後で10分の1に、20日後で100分の1に、30日後に1000分の1に減少し、106オーダー以上であれば通常の感染力は維持できる。 (表2
  3. キボシカミキリ成虫に対する病原力は、感染後の温度が20℃あるいは25℃の場合は大差ないが、30℃では著しく低下する。(表3
  4. 病死までの日数は、付着分生子数が多いほど早く、また、20℃あるいは30℃よりも25℃で最も早く死亡する。25℃での死亡までのおよその日数は、10/mlの菌液浸漬処理で8日、106/mlで10日、105/mlで12日である。 (表3
  5. 本菌は蚕に病原性が認められないため、蚕飼育の有無に関係なく、桑園へ施用でき、適期防除が可能である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本製剤は農薬未登録であるので、登録を待って普及する。
  2. 本菌の感染後病死までには1~2週間を要するため、発生初期の成虫を対象に防除することが次世代密度抑制に有効である。

 [その他]
 
研究課題名:四国山間傾斜地におけるアメニティ養蚕新技術の開発
予算区分  :国補、地域重要新技術
研究期間  :平成5~6年
研究担当者:密田和彦・宇都宮靖博・板谷俊宏・中川建也・越智洋之 
発表論文等:Beauveria brongniartii 製剤の桑園への施用量とキボシカミキリの殺虫効果、第59回 日本蚕糸学会関西支部講演要旨集、1993
 
目次へ戻る