四国のカミキリムシ類から分離される天敵糸状菌Beauveria brongniartii の特性

[要約]
 
愛媛県下の桑園周辺に生息するカミキリムシ類3種から分離した昆虫病原糸状菌14菌株はすべてBeauveria brongniartii であり、蚕には病原性が認められず、キポシカミキリ成虫に対して関東産菌株と同等の強い病原性が認められ、高温耐性を示し、初夏多発型を示す西日本地域での本害虫の微生物的防除に利用が可能である。
愛媛県蚕業試験場・研究指導室
[連絡先]0893-25-3039
[部会名]蚕糸
[専門]作物虫害
[対象]工芸作物
[分類]研究

[背景・ねらい]

桑の重要害虫であるキボシカミキリ成虫の発生消長には地方により異なり、西日本では初夏最盛型を東日本では秋期最盛型を示す。関東周辺のキポシカミキリの天敵糸状菌としてBeauveria brongniartii が知られ、本成虫に強い病原性を示すことから微生物的防除への利用が図られつつある。そこで、本県をはじめとする西日本地域でのカミキリムシ類の天敵糸状菌相を明らかにするとともに、分離菌の特性を調査した。

[成果の内容・特徴]
  1. 愛媛県下の桑園周辺に生息するカミキリムシ類から分離される糸状菌は、Beauveria brongniartii B.tenella )であり、キボシカミキリから12菌株、クワカミキリから1菌株、ゴマダラカミキリから1菌株分離した。(表1
  2. 分離菌株の家蚕に対する病原性は、2齢起蚕、4齢起蚕の菌液浸漬接種では認められず、繭質への影響も認められなかった。また、キボシカミキリ成虫に対する病原性は、いずれの菌株にも認められ、既知の関東産菌株と同等の病原力を保持する。 (表1
  3. 分生子は、多湿条件下ではとんどの菌株が、32℃で10日以上、34℃で5~7日、36℃で3~5日の生存でき、既知の関東産菌株に比べ、やや高温耐性を示す。また、発育適温は25℃周辺にあり、30℃より20℃のはうが、発育が良好である 。(表2
  4. キポシカミキリ成虫に対する病原力は、28℃以上の高温で著しく低下し、分離菌株は既存の関東産菌株に比べ、低下の程度が緩やかである。(表3
  5. 分離菌株を独自培養した製剤による殺虫効果は高く、5×5cm小片を全桑株上に設置することにより、20日間にわたって80%以上の殺虫効果が期待できる。(表4
[成果の活用面・留意点]
  1. ゴマダラカミキリ、クワカミキリ分離株もキボシカミキリに対して強い病原性を示すことから果樹の重要害虫であるゴマダラカミキリの防除に利用が可能と推察される。

 [その他]
 
研究課題名:四国山間傾斜地におけるアメニティ養蚕新技術の開発
予算区分  :国補、地域重要新技術
研究期間  :平成5~6年
研究担当者:密田和彦 
発表論文等:愛媛県下のカミキリムシ類から分離されたポーベリア菌の性状 、第60回 日本蚕糸学会関西支部講演要旨集、1994
 
 
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