カンキツ類加工残渣の全利用

[要約]
カンキツ搾汁残渣から、カロチノイド色素を抽出・精製する技術を確立し、ゼリー等食品への利用を試みた。
愛媛県工業技術センター・食品加工室
[連絡先]0899-76-7612
[部会名]食品
[専門]加工利用
[対象]果樹類
[分類]研究

[背景・ねらい]

カンキツ類の果皮を主とした加工残渣には、抗酸化成分等多くの有効成分が含まれているが、大部分が飼料としての利用に止まっており、有効成分の活用があまりなされていない。そこで先の研究では抗酸化成分(トコフェロール)の利用技術について確立した。本研究では、残渣の全利用を目的として、色素、食物繊維等有効成分の抽出、微生物利用による新たな有効成分の産生技術について研究する。平成6年度は、残渣中の色素の利用技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 抽出溶媒の検討:温州ミカン、イヨカン搾汁残渣(生)から、アセトン、エタノール、メタノール等13種類の有機溶媒でカロチノイド色素の抽出率を比較したところ、エタノール、アセトン、アセトン-メタノール混液が優れていた。(図1
  2. 乾燥方法別色素抽出率の検討:乾燥による色素抽出率の影響を見るため、各種乾燥方法により残渣を乾燥後抽出し、比較したところ、生>マイクロ波減圧乾燥>凍結乾燥>冷風乾燥>熱風乾燥>天日乾燥の順に減少した。
  3. 抽出色素の経時変化:各種有機溶媒で抽出した色素の経時変化を見ると、エタノール、メタノール等は安定していたが、アセトンとその混液は色素の退色が見られた。(図2
  4. 抽出色素の種類の同定:エタノールで抽出後、アルカリでケン化を行い液クロで測定した。温州粕にはモノオールグループ(クリプトキサンチン等)が多く、イヨカン粕にはジオールジエポキシド(ビオラキサンチン等)が多かった。(表1
  5. 色素の精製法の検討:4の抽出液をシリカゲルカラムクロマトにより溶離液(ヘキサン+エタノール0~20%)で順次溶出して3画分に分割した。№2画分は表1でH、Mグループ、№3画分はD、DM、DDグループであった。なお、抽出から精製までの各行程ごとの重量を測定したところ、ケン化の行程でかなりの減少が見られた。(表2
  6. 食品への添加試験:抽出色素をエタノールに溶解して食品へ添加した。ゼリーへの使用は良好であったが、うどんはエタノールの影響で表面が少し荒れた。
[成果の活用面・留意点]
  1. カンキツ残渣からの色素の抽出利用は技術的には可能であるが、コスト面の検討が必要と思われる。

 [その他]
 
研究課題名:カンキツ類の高機能成分の検索と評価及び利用技術
予算区分  :大型別枠研究(新需要創出)
研究期間  :平成6年度(平成6~9年度)
研究担当者:毛利作太郎、二宮順一郎、児玉雅信
発表論文等:愛媛県工業技術センター研究報告(平成6年度)投稿予定
 
目次へ戻る