水稲乳苗育苗技術の経済性評価

[要約]
 
水稲乳苗の播種から育苗までの10a当たりの延べ作業時間は66分で、稚苗に比べると41%減に省力できる。また、資材費と減価償却費に労働費を加えた乳苗の育苗経費は13.313円/10aで、稚苗の13%増である。このため、乳苗の育苗経費を稚苗と同額にするためには10a当たりの育苗箱数を11箱に減らす必要がある。
   愛媛県農業試験場 経営流通室
        [連絡先]089-993-2020
        [部会名]営農 
        [専門]経営
        [対象]水稲
        [分類]指導

[背景・ねらい]

水稲の新しい栽培様式として、単位面積当たりの植付け箱数が節減できる乳苗移植栽培が普及しつつある。しかし、乳苗では専用の育苗マットや加温できる育苗装置が必要であるため、稚苗に比べ育苗経費の高騰が懸念される。そこで、育苗に要する資材費や労働費等の経費を調査し、乳苗育苗技術の経済性を明らかにする。
なお、本田面積10a当たりの苗箱数は乳苗が14箱、椎苗が20箱で、使用した機械は手動式播種機(I社製HK-5型)と加温育苗機(K社製KBS-84AX型、収納箱数84箱:乳苗のみに使用)の2種である。また、乳苗、稚苗とも6月移植の普通期栽培を対象とした。

[成果の内容・特徴]
  1. 本田面積10a当たりに換算した播種から育苗管理までの延べ作業時間は、乳苗が66分で、稚苗の113分に比べ41%減に省力できる(表1)。
    これは、乳苗の育苗箱数が14箱/10aと少なく、また、育苗期間が椎苗の21日に比べ乳苗では8日と短く、潅水作業が不要なためである。
  2. 播種機等の負担面積を1haとすると、10a当たりの育苗に要する経費は、乳苗が13.313円、稚苗では11.784円と乳苗が13%多い(表2)。
    これは、労働費が節減できる反面、加温育苗機の減価償却費が増加するためである。
  3. 乳苗の育苗経費を稚苗とほぼ同額にするためには、10a当たりの育苗箱数は11箱に減らさなければならない(表3)。
    このため、乳苗では田植機のかき取り苗数を減らすか、植付け間隔を広げるなどの対策を講じる必要があるが、植付け箱数を削減した場合の生育や収量に及ぼす影響については栽培試験で検討しなければならない。

[成果の活用面・留意点]

  1. 水稲の乳苗移植栽培を導入する際のコスト評価の参考になる。
  2. 育苗に使用する資材や機械の種類によって経費の額は異なるので留意する。

 [その他]
 
研究課題名:超低コスト稲・麦体系技術現地実証試験
予算区分  :県単
研究期間  :平成7年度(平成6~8年度)
研究担当者:大野高資・杉山英治・河内博文
発表論文等:なし
 
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