四国中山間地域おける特産物の開発と新規流通ルートの開拓

[要約]
 
中山間地域では、農家の国際化のもとで既存品目が衰退傾向を示す中で、地域特産物の開発と新たな流通ルートの開拓により、原科供給基地から最終商品供給基地へと脱却し、流通コストを削減することが生産振興のためにも重要となっている。
    四国農業試験場・地域基盤研究部・地域計画研究室
        [連絡先]0877-62-0800
        [部会名]営農
        [専門]経営
        [対象]
        [分類]行政

[背景・ねらい]

四国の中山間地域では、農家の国際化のもとで既存品目が衰退傾向を示す中で、新たな農林業新興方策が求められている。そこで、地域特産物の開発と新規流通ルートの開拓事業例を素材として、今後の農林業の展開方向について検討を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 四国の中山間地域では、野菜や花きなど新たな品目による産地形成の成杏が、地域農業盛衰の大きな分かれ目となっているが、山間地職では米や養蚕、工芸作物、肉用牛など既存品目の多くが、農業の国際化のもとで次々と衰退傾向を示す中で、野菜・花きの伸びも、農業粗生産額の減少をくい止めるまでには至っていない(表1)。
  2. 生産性格差の要因としては土地基盤条件の違いが大きく、特に「地域Ⅲ(山間地域)」では水田率が46%と低く、その85%が傾斜20分の1以上と劣悪で、耕地の減少率も大きい。
  3. こうした困難な条件下にある山間地域を中心として、四国の中山間地域では、野菜や花き等の市場出荷型の産地形成と同時に、無農薬野菜や減農薬米の契約栽培、農産加工場の建設、さらには都市部へのアンテナショップの開設など、加工や流通過程にまで進出し、消費者と直結する動きを強めてきた(表2表3)。
  4. これらは、原科供給基地という位置づけに留まっていた中山間地域が、流通コストの削減や高付加価値化、新たな就業機会の創出を目的として、加工や流通など川下への進出を強めながら、製茶や精肉、果汁飲料、木造住宅といった最終商品の供給基地へと転換を図ると同時に、地域そのものを売り込もうとする総合的な戦略を展開し始めていることを示すものである。
  5. 今後の課題としては、①商品に対する「安全、安心、本物」の強調と同時に、②ネーミングやパッケージに対する工夫、③環境や景観にも配慮した組織的な活動のもとでの地域イメージ」の確立、さらには、④供給の継続性や多品目化に向けた隣接町村や農協との連携あるいは調整が重要となる。                                                                                     

[成果の活用面・留意点]

  1. 中山間地域における新たな産地展開方策の策定に際して参考となる。

 [その他]
 
研究課題名:四国傾斜地農業地域における地域資源活用型農業の類型化
予算区分   :経常
研究期間  :平成7年度(平成5~7年)
研究担当者:増渕隆一、山田隆一、高橋弘江
発表論文等:増渕隆一;中山間地域における農業経営発展の可能性と経営政策、農業経営研究、33巻4号、日本農業経営学会、1996。
        増渕隆一;四国の傾斜地農業の特質とその問題点、農業法研究、31号、日本農業法学会、1996。
 
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