中山間地域農地斜面の雑草管理実態と地被植物による雑草の抑制

[要約]
 
中山間地域における農地斜面草刈作業は多量の労力を必要とし、しかも暑い時期に行うもので、極めて厳しい作業となっているが、草丈の低い地被植物で地表面を覆い、光の透過を遮断することによって雑草の発生をかなり抑制でき、雑草の管理が容易になり得る。
    香川県農業試験場 作物担当
        [連絡先]089-993-2020
        [部会名]作業技術・傾斜地農業
        [専門]作業・農村整備・雑草
        [対象]緑化植物
        [分類]研究

[背景・ねらい]

中山間地域においては、圃場整備を行った場合でも斜面長・段高さが大きく、農傾斜面の雑草管理作業に多量の労力が必要で、この作業が経営規模の拡大を阻害する一つの要因になっていると考えられる。雑草管理作業を軽減するためには種々の方策があるが、その一つとして植生で地上部を密に覆って雑草の発生を抑制するという生物学的管理法がある。
そこで、中山間地域における水田畦畔法面の草刈作業葉実態を調査するとともに、地被植物による雑草抑制の可能性を明らかにするために、光の透過度と雑草の発生の関係、3種の地被植物(シロツメクサ、マツバキク、シバザクラ)植栽地における光環境と雑草の発生状況について調査した。

[成果の内容・特徴]
  1. 水田珪畔の草刈作業は年間4回程度実施しており、中山間地域における耕地面積10a当たりの年間作業時間は、6.2時間~13.8時間と極めて多量の労力が必要であり、規模拡大を阻害する一つの要因となっている(表1)。
  2. 雑草の発生は光の透過度と密接な関係があり、相対照度5.8%以下では、夏生一年草及び発芽後ロゼット状態で越冬する越年草の発生を抑制でき、地下茎から萌芽する多年生雑草でさえも発生量、根量を著しく減少させることができる(表2表3)。
  3. 地被植物植栽地においては光の透過が少なく、多年生雑草、越年草については若干発生するものの、夏生一年草は全く発生しない(表4)。
  4. これらの結果から、地被植物で光の透過を遮断すればかなり雑草の発生を抑制でき、農地斜面の管理法として一つの有力な方法となり得る。                                                                                 

[成果の活用面・留意点]

  1. 植生で地上部を密に覆って雑草を制御するという農地斜面の生物学的管理法を確立するためには、今後、農地斜面に適した植物の選定、適正な播種・移植時期並びに栽植密度、移植労力の軽減方策、生育初期段階での除草管理労力軽減対策、長期間維持するための管理方法等、種々の検討が必要である。

 [その他]
 
研究課題名:中山間地域における農地斜面の生物学的管理法と景観形成
予算区分  :県単
研究期間  :平成7年度(平成4年~8年)
研究担当者:川崎哲郎、杉山英治、河内博文
発表論文等:中山間地域農地斜面の雑草管理実態と生物学的管理法、農業土木学会誌投稿中
                  地被植物植栽地における光環境と雑草の発生、農業土木学会誌投稿中
 
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