ビニルトンネルにおける洋ニンジンの窒素減量施肥

[要約]

洋ニンジンのビニルトンネル栽培のおいて、施肥窒素10a当たり17㎏では、前半期の生育はやや劣るものの、後半期には生育が旺盛になり、肥大もよく、多収であった。三要素の吸収量は慣行(10a当たり28㎏)と変わらず、肥料の利用率が向上した。したがって28㎏より減肥した栽培が可能である。
    徳島県立農業試験場 農芸化学科
        [連絡先]0886-74-1660
        [部会名]生産環境(土壌肥料)
        [専門]肥料
        [対象]根菜類
        [分類]指導

[背景・ねらい]

近年、環境に優しい農業を進めるために、化学肥料や農薬の使用量を現状よりも少なくしたり、あるいは全く使用しない栽培が各地で実施されている。野菜栽培では生育の比較的旺盛な時期に収穫するために、収穫後に施肥窒素が残ることが多い。
そこで、徳島県下で栽培面積の多い(約1.000ha)ビニルトンネル洋ニンジンに対する施肥量の影響を検討し、環境保全型農業技術に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 生育初期は減肥区(N-17㎏)が慣行区(N-28㎏)よりやや劣る傾向であったが、生育後半になると減肥区がやや旺盛な生育になった(緩効性肥料、有機質肥科ともに)(表2)。試験区の内容(表1
  2. 収穫時のニンジンの肥大は生育の勝った減肥区が慣行区よりもよく、収量もやや勝り、一個体重も重かった(表3)。品質も同等~やや優る傾向にあった。
  3. 減肥区は慣行区よりも土壌中の硝酸態窒素、置換性加里含量が少なく経過した。
  4. 窒素、リン酸の養分吸収(㎏/10a)は、減肥区が慣行区に比べて同等量か、やや多い傾向であり、加里の吸収量は多い傾向であった。施肥に対する吸収割合(%)は慣行区でN-36~49、PO-15~29、KO-83~118、減肥区でN-66~80、PO-32~43、KO-171~208となり、減肥区は慣行区よりも施肥三要素の吸収割合が高かった(表4)。                                                                              

[成果の活用面・留意点]

  1. ニンジン栽培地域ではやや多く施用している農家の三要素施肥量を慣行区とした。
  2. 施肥窒素を10a当たり25㎏以上施用している農家は減肥可能である。
  3. 養分吸収量の増加にも関わらず、土壌中の養分が比較的残存しており、今後さらに解明しなければならない点も明らかになった。

 [その他]
 
研究課題名:汎用水田における野菜を中心とした高度輪作体系化技術の確立
                  野菜、水稲の高度輪作水田における新土壌管理技術
予算区分   :国補(水田農業)
研究期間   :平成8~5年度
研究担当者:黒島忠司、川下輝一、野本陽一
発表論文等:水田の高度利用のための耕種的土壌改良、農業及び園芸71(4)、477~483 .(現地土づくり事例も含む)(1996.4)
 
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