アイガモ放飼と網被覆を組み合わせた水稲の無農薬栽培

[要約]
 
水稲無農薬栽培において、アイガモ放飼と(透明寒冷紗)被覆を組み合わせることにより、害虫や雑草の発生を抑制し、安定した収量を得ることができる。
    愛媛県農業試験場 生産環境室
        [連絡先]089-993-2020
        [部会名]生産環境(土壌肥料)
        [専門]生態
        [対象]稲類
        [分類]研究

[背景・ねらい]

近年、環境保全型農業の推進が図られ、農薬や化学肥料を使用しない各種の農法が試みられている。それらの中に、アイガモ放飼や再生紙マルチを利用した栽培法があるが、害虫の防除が十分でない。そこで、アイガモを放飼し、さらに水田全体を網(透明寒冷紗)で覆って、害虫の被害を防止することを試みた。

[成果の内容・特徴]
  1. 網被覆アイガモ放飼栽培は、害虫や雑草の防除効果が高く、安定収量の大きな要因となった(図1図2)。
  2. 平成5年度の低温寡照、平成6年度の高温寡雨、平成7年度の害虫(コブノメイガ)多発生の環境条件にもかかわらず、網被覆アイガモ放飼栽培は、再生紙マルチ栽培に比べて、年次変動の少ない安定的な収量が得られた(表1)。
  3. 網被覆アイガモ放飼栽培は、再生紙マルチ栽培と比較すると、秋まさり型の生育相を示し、総籾数、登熟歩合が増加した(表1)。
  4. 網被覆内の日照量は、無被覆区に比べて約80~98%であり、水稲の生育にとって十分な日照量が確保されていた。                                                                                    

[成果の活用面・留意点]

  1. 網被覆の方法は、パイプハウス方式とブドウ棚方式があり、パイプハウス方式よりもブドウ棚方式の方が経費がかからない。
  2. 野菜栽培等の既存ハウスにおいて、肥料成分等の是正均一化、除塩、土壌病害虫抑制、連作障害回避等を目的とした水稲栽培で活用できると考えられる。
  3. 肥培管理の方法は次のように行う。移植後直ちに網被覆を行う。アイガモは、移植約2週間後に2~3週齢ビナを10a当たり約20羽放飼し、出穂前に水田からひき上げる。肥料は無肥料でよいが、地力のない圃場においては、秋に堆肥を施用したり、レンゲ等をまいてもよい。また、有機質肥料や化学肥料を施用する場合は基肥のみとする。餌となる雑草や虫が少ない場合、アイガモが水稲を食害しないように餌を適宜与えるが、なるべく少量とし、与えすぎないようにする。
  4. 台風等強風害に弱いので支柱を強固に建てる。

 [その他]
 
研究課題名:耕地生態系農法確立試験
予算区分  :県単
研究期間  :平成5年~7年
研究担当者:石丸治郎、上森実
発表論文等:なし
 
目次へ戻る