施設畑における施肥養分の動向とコーティング肥料の利用

[要約]
 
砂地ハウスおよび水田ハウスにおいて、施肥窒素の動向について調査した。ピーマン栽培において、コーティング肥料の利用による施肥量低減が、窒素溶脱軽減に有効である。
    高知県農業技術センター 生産環境部 土壌肥料科
        [連絡先]0888-63-4915
        [部会名]生産環境(土壌肥料)
        [専門]肥料
        [対象]果菜類
        [分類]指導

[背景・ねらい]

近年、硝酸態窒素による地下水の汚染が問題となってきており、その要因の1つとして農耕地からの施肥窒素の溶脱が指摘されている。高知県においても、1981~85年にかけて旧農林技術研究所が行った県下全域の農業用地下水調査(年1回)によって、海岸線に近い砂地地帯の硝酸態窒素汚染が内陸部より著しいことが指摘された。そこで、砂地ハウスと水田ハウスにおいて、農業用地下水および土壌溶液中の硝酸態窒素濃度を調査し、水質汚染の実態を把握するとともに、環境保全的観点から砂地ハウスにおける肥培管理法を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 砂地ハウスにおける地下水中の硝酸態窒素濃度は、年間を通じて水田ハウスより明らかに高く、調査した10地点中6地点が10ppmを越えていた(第1表)。また、月別の推移は、8月から9 月に顕著なピークがみられ、裸地期間中の降雨によって施肥窒素が溶脱しているものと推察された。
  2. 深さ別の土壌溶液中の硝酸態窒素濃度は、砂地ハウスでは、下層(深さ250㎝)においても高濃度で推移したのに対して、水田ハウスでは、各深さとも10ppm以下の範囲で推移した(第1図)。
  3. 慣行の50%の基肥とコーティング肥料(スーパーロング180日タイプ)を併用し、施肥窒素総量を約30%減にした場合のピーマンの収量は10%の減収となったが、基肥を畦面に施用すると6%の減収にとどまった(第2表)。
  4. 作土中の硝酸態窒素の推移に差はあまりみられなかったが、土壌溶液中の硝酸態窒素濃度はコーティング肥料を用いると低く推移した(第2図)。                                                                                

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験での施肥量は、全体で約30%低減しているため、今後の施肥改善につながる。
  2. コーティング肥料には、作物の生育に応じた細かな肥培管理が困難であるため、液肥等による補充が効果的である。

[その他]
 
研究課題名:施設用における施肥養分の動向と地下水の水質調査
予算区分 :県単
研究期間 :平成6年度(平成4~6年)
研究担当者:糸川修司
発表論文等:1)高知の農林業新技術15号掲載予定
                2)施設栽培地帯における地下水の水質調査-硝酸態窒素濃度の月別変動-、1993年度、日本土壌肥料学会関西支部講演
 
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