徳島県における水稲「なつのたより」の特性と適応性

[要約]
 
なつのたよりは出穂、成熟期がともにハナエチゼンより3~5日早い極早生良食味の粳種である。耐冷性はやや弱で収量性はハナエチゼンよりやや少収である。県東南部沿岸地域の早期栽培地帯への導入により、8月初旬出荷が可能となる。
     徳島県立農業試験場 作物科
        [連絡先]0886-74-1660
        [部会名]水田・畑作
        [専門]育種
        [対象]稲類
        [分類]普及

[背景・ねらい]

全国的に良食味品種の作付け拡大、栽培の早進化が図られ、今後とも産地間競争が激化していくことが予想される。このような中、本県では県東南部の早期米から県央、西部の普通期米へと、新米を継続的に出荷できる体制の確立を目指している。しかし、現在の早期水稲品種は8月中旬からの出荷であり、更に早期出荷できる品種の導入が望まれている。

[成果の内容・特徴]
  1. 出穂期、成熟期はともにハナエチゼンより3~5日早い(表34)。
  2. 稈長、穂長はハナエチゼンよりやや短く、穂数は同程度の短稈穂数型の極早生品種である(表3)。
  3. 玄米の粒形は中であり、粒大および千粒重ともハナエチゼンより小さい(表34)。
  4. 食味は、ハナエチゼンと同程度の上の中である(表12)。
  5. 収量性はハナエチゼンより標肥では少収であり、増肥ではやや少収である(表3)。 
  6. 葉いもち、穂いもちに対する圃場低抗性は共にやや弱であり、ハナエチゼンより弱い。縞葉枯病には罹病性である(表1)。
  7. 障害型耐冷性はやや弱である(表1)。
  8. 穂発芽性は難である(表1)。                                                                               

[成果の活用面・留意点]

  1. 県東南沿岸部の早期栽培地帯で、8月初旬出荷の可能な地域に普及が見込まれる。
  2. 障害型耐冷性がやや弱であるため、極端な早植えは行わない。
  3. 基肥施用量をやや多めとし、穂数確保に努める。
  4. いもち病に対する圃場低抗性はやや弱であるので、発生に留意し適正に防除する。縞葉枯病には低抗性をもたないので常発地帯での栽培は避けるとともに、畦畔雑草の防除を行う。夏期の高温期に登熟するので、紋枯病の防除に努める。

 [その他]
 
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分  :国補
研究期間  :平成7年度(平成元年~7年)
研究担当者:山本善太、馬渕敏夫
発表論文等:なし
 
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