香り米新品種「高育香37号」

[要約]
 
水稲「高育香37号」は高知県の普通期栽培で9月下旬に収穫可能な中生の香り米粳種である。香りが強く、良質で脱粒せず、耐病性は中~やや強、「ヒエリ」より耐倒伏性が強く、栽培しやすい。中山間地域の特色ある米づくりの一つとして利用できる。
     高知県農業技術センター 作物園芸部 遺伝資源科
        [連絡先]0888-63-4916
        [部会名]水田・畑作、生物工学
        [専門]育種
        [対象]稲類
        [分類]普及

[背景・ねらい]

高知県の中山間地域では、特色ある米づくりの一つとして香り米が位置付けられている。香り米の流通量は比較的小さいが、本県は古くから香り米の需要が多く、香り米生産協議会の設立や自主流通米制度の活用により、全国一の香り米生産県となっている。
香り米は希少価値から価格面でも高い水準にあり、今後も売れる米として高い評価を受けている。しかし、既存品種は稈長、脱粒性、耐倒伏性、収量性、品質などに難点があり、面積拡大のネックとなっていた。

[成果の内容・特徴]
  1. 「高育香37号」は1987年旧高知県農事試験場において、「黄金晴」/「ヒエリ」の交配後、葯培養により固定したものに由来する。
  2. 出穂期は「ヒエリ」と同等、成熟期は4~5日早い晩生種である(表1)。
  3. 稈長は「ヒエリ」より10㎝程度短く、穂長はやや短く、穂数はやや多く、草型は偏穂重型を示す。もみがら色、もみがら先色は黄白である。脱粒性は難、穂発芽性はやや易、耐倒伏性は中である(表1)。
  4. 耐病性はいもち病には中~やや強、紋枯病および白葉枯病には中である(表1)。
  5. 収量性は「ヒエリ」と同程度~やや多収である(表12)。
  6. 玄米の形状は中、粒長、粒幅は小さく、千粒重は「ヒエリ」より小さい。外観品質は中の上(6.3)で、「ヒエリ」より格段に良い(表1)。
  7. 香り米の主成分(2-アセチル-1-ピロリン)含有量は「ヒエリ」より多く、香りの官能評価も「ヒエリ」より高い(表3)。
  8. 「高育香37号」を添加した炊飯米の食味は良好である。                                                                             

[成果の活用面・留意点]

  1. 普通期栽培地域の特色ある米づくりとして導入が可能になる。
  2. いもち病には「ヒエリ」並みの強さを示すが、真性抵抗性遺伝子によるものと考えられるため、菌系の変化には注意し基幹防除に努める。
  3. 刈り遅れると香りの低下をまねくので、適期刈取に努める。

 [その他]
 
研究課題名:香り米の品種育成試験・水稲奨励品種決定調査
予算区分   :県単・国補1/2
研究期間   :平成7年度(昭和62年~平成7年)
研究担当者:中村幸生、亀島雅史、溝渕正晃、宇賀博之、森田純行
発表論文等:高農技セ研報、5、1996。育種学会四国談話会報、29、投稿中
 
目次へ戻る