高知県における水稲「ヒノヒカリ」の特性と適応性

[要約]
 
水稲「ヒノヒカリ」は高知県の普通期栽培で9月下旬に収穫可能な中生の粳種である。炊飯米には光沢があり、食味は良好である。耐病性も「コシヒカリ」に比べ強いことから、普通期栽培地域の良食味品種として利用できる。
     高知県農業技術センター 作物園芸部 遺伝資源科
        [連絡先]0888-63-4916
        [部会名]水田・畑作
        [専門]育種
        [対象]稲類
        [分類]普及

[背景・ねらい]

水稲の普通期栽培は高知県稲作の約4割を占め、中山間地域を中心に栽培されている。中山間地域は病害などの被害が多く、「コシヒカリ」などの良食味品種を安定的に栽培することが困難である。また、この作型は収穫時期が全国ブランド品種と同じになるため、県内における販売は厳しい状況にある。特に普通期水稲の基幹品種「黄金錦」は、その食味、価格面から現在の流通量について厳しい評価を受けている。新食糧法の施行により販売環境は一層厳しくなることが予想されるため、これに替わる銘柄品種の選定が求められていた。

[成果の内容・特徴]
  1. 「ヒノヒカり」の出穂期、成熟期は「黄金錦」とほぼ同じであり、高知県では中生の晩の粳種である(表1)。
  2. 稈長は「黄金錦」より13㎝程度短く、穂長はやや短い。穂数は「黄金錦」よりやや多く、草型は中間型を示す。脱粒性、穂発芽性は難、耐倒伏性は強である(表1)。
  3. 耐病性はいもち病には中~やや弱、紋枯病には中、白葉枯病にはやや弱である(表1)。
  4. 収量性は「黄金錦」よりやや勝る(表12)。
  5. 玄米の形状は中で、「黄金錦」より長さ、福は小さく、千粒重はやや小さい。外観品質は上の下(5.3)(表1)、炊飯米は光沢があり、粘りが強く、食味は「黄金錦」より良好である(表3)。                                                                              

[成果の活用面・留意点]

  1. 普通期栽培地域における県内向け良食味品種として導入が可能となる。
  2. いもち病には「黄金錦」並みの強さを示すが、これは主に真性抵抗性遺伝子によるものであり、菌系の変化には注意し基幹防除に努める。
  3. 刈り遅れによる品質低下がやや大きいので、適期刈取に努める。
  4. 白葉枯病にやや弱いので常発地は避ける。

 [その他]
 
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分   :国補1/2
研究期間   :平成7年度(昭和62年~平成7年)
研究担当者:中村幸生、亀島雅史、溝渕正晃
発表論文等:なし
 
目次へ戻る