幼若ホルモン様活性物質によるハエの発生防除

[要約]
 
畜舎のふん堆積場所(天日利用ハウス撹拌乾燥設置採卵鶏舎のケージ下、牛舎のパーンクリーナ)に発生するハエを、施設に運動する薬剤散布機の改良と生物学的製剤(ピリプロキシフェン)の適正濃度散布で、有効に防除することができる。
     徳島県畜産試験場・卵鶏科
        [連絡先]0886-94-2023
        [部会名]畜産、生物工学
        [専門]環境保全
        [対象]家畜類
        [分類]普及

[背景・ねらい]

衛生害虫の防除には、目的害虫にのみ選択的に作用し、自然界への残留が少ない、幼若ホルモン様活性物質のような生物学的製剤が望ましい。この製剤はハエの羽化阻止に作用するが、ふんの堆積場所ではハエの生態にあった方法で散布されていないため、よい効果が示されていない。そこで、天日利用ハウス撹拌乾燥施設、採卵鶏舎のケージ下、牛舎のパーンクリーナでの効果的な散布技術について検討する。

[成果の内容・特徴]
 

薬剤の効果判定は、薬剤散布後に4日齢のイエバエの幼虫をふんに接種し、回収した蛹の羽化率を調査した。また、水分含量の多い採卵鶏ふん・牛ふんへの水分量の上昇を最小限に押さえるため、薬剤散布は霧状の噴霧ノズルを使用した。

  1. 天日利用ハウス撹拌乾燥装置に薬剤散布機を付設すると(図1)、ブロイラーふんを撹拌すると同時に、幼若ホルモン様活性物質(ピリプロキシフェン以下P剤)を装置内に均一に散布することがてき、装置の薬剤散布量は1㎡当たり125ミリリットルで、ふんの量に対して0.9ppm以上のP剤を散布するとハエの羽化率は0%になる(図2)。
  2. 採卵鶏舎の自動給餌機に薬剤散布機を付設して(図3)、ケージ下に堆積するふんにP剤を1000羽当たり8リットル散布すると、噴霧ノズルの先端から50㎝以上離れた場合には薬剤の効果は低いが、50㎝以下ではP剤の濃度が30㎎、90㎎/リットルの時、薬剤散布10日後のハエの羽化率は31.3、5.3%で、ハエの羽化阻害に有効である(表1)。
  3. 牛舎のパーンクリーナのふん搬出日に薬剤散布機を設置し、10頭当たり1リットルP剤を散布すると、P剤濃度が30、90㎎/リットルの時、ハエの羽化率は18.8、4.3%で、ハエの羽化阻害に有効である。  

[成果の活用面・留意点]

  1. P剤以外の薬剤の使用も可能である。また、ふんの水分含量が高い採卵鶏ふん・牛ふんへの薬剤散布量は、必要最小限の散布量に留める必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:家畜ふん尿の物理的・生物的方法による公害防止と効果的利用技術
予算区分  :国補(地域重要)
研究期間  :平成7度(平成5~7年)
研究担当者:篠原啓子、武内徹郎、中西隆男、大谷長治
発表論文等:1)家畜ふん尿の物理的・生物的方法による公害防止と効果的利用技術(2)衛生害虫の発生防除技術、徳島畜試研報、35号、56~58,1994。
         2)自動噴霧剤装置によるイエバエ防除、鶏の研究、№.8、34~37、1994。