浄化処理中水の有効利用

[要約]
 
浄化処理中水を培養液とした水気耕栽培における葉面蒸散等は、4.56㍑/栽培1㎡/日で、肥料三要素(全窒素、全燐酸、カリ)の吸収率は、それぞれ、19.4、4.6、28.6%/100㍑/12日であり、土耕並みの収穫が得られる。また、スレート屋根の浄化処理中水の年間平均蒸散量は20.6㍑/㎡/日であり、畜舎内室温の冷却効果は屋根裏で6.6~6.0℃、床上0.5mで4.8℃となる。
     高知県畜産試験場・環境養豚科
        [連絡先]0889-22-0044
        [部会名]畜産
        [専門]環境保全
        [対象]家畜類
        [分類]指導

[背景・ねらい]

浄化放流水中の富栄養価成分、特に窒素、燐の放流基準が閉鎖系水域で、それぞれ、120ppm(日間平均60ppm)、16ppm(日間8ppm)に加重規制されることになった。この基準をクリア・維持するためにはハイテク施設・技術の導入とともに、多額の設備投資が必要になることから、浄化処理中水の有効利用による場内処理法を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 浄化処理水を利用した水気耕栽培では、純正標準培養液と比較して、収穫までの所要日数が葉菜類で11~29日、135~192%と長期化するが、土耕並みの成績が得られる(表1)。なお、表1の作物栽培状況下での蒸散量/栽培床1㎡/日は、0.7(4月)~8.8㍑(8月)であり、これは肥育豚換算1頭当たりの浄化処理水容量を30㍑とした場合、42.9~3.4㎡の栽培床が必要であることを示す(表2)。また、富栄養価成分の吸収は、栽培床からの直接的な蒸散や葉面蒸散作用で溶液の濃縮が推測されるにも拘わらず、測定期間中に、窒素19.4%、燐酸4.6%、加里28.6%、塩素5.7%が収奪・減少している。作物の生産・収穫を目的とした場合には溶液濃度を一定に維持する必要があるので、放流基準にまで下げることの直接的な評価はできないが、収穫物への転換で系外水系に対する富栄養化成分を明らかに減量させることができる(表3)。
  2. スレート茸屋根1㎡当たりの蒸散減量は、最小で3月の2.3㍑、最大で5月の54.4㍑、年間平均では20.6㍑となる。蒸散量は気温、湿度、風等の相乗作用で決定され、気温及び日照時間との間には、それぞれ、0.6及び0.8正の相関関係が存在する。なお、当季最量で浄化処理水容量30㍑を除すると、最小値の3月で3㎡、最大値の5月では0.55㎡、平均では1.5㎡の面積が必要となる(表4)。屋根散水による畜舎内室温の冷却効果は、日照時間帯の昼間(AM8~PM5)で顕著になり、散水区:無散水区間で、屋根裏6.6~6.0℃、屋根表面で5.4℃と1%水準での有意差が認められ、床上0.5mでは4.8℃と5%水準での有意差が認められる(表5)。                                                                     

[成果の活用面・留意点]

  1. 既成の水気耕栽培ブラントでは多額の設備投資となるため、低廉なブラント(特に栽培床)の開発が必要である。また、浄化処理中水を活用した場合、溶液中窒素の硝酸化を促進する処理方法の確立が必要となる。
  2. 浄化処理水を中水として撒水等に利用する場合、水質的にハイレベルであるとともに、獣医衛生学的な阻害菌を含まないことを確認する必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:家畜ふん尿の物理的・生物的方法による公害防止と効果的利用技術
予算区分  :国補(地域重要)
研究期間  :平成7年度(平成5~7年)
研究担当者:長尾興亜、筒井彰夫、横山文親、日高洋介
発表論文等:なし
 
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